ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ33)

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84 ハリーの醒めページ33

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僕は本能で理解する。
べるがさっきまで隣のベッドで仮眠し寝ていたことに、気がつく。
それもそのはず、木造の橋で2人で会話をしているさなか、急激に眩暈(めまい)と意識が朦朧(もうろう)になった。
眩暈(めまい)はぐるぐると歯車を回すように酔うほど。
眩暈がすさまじく酷く、酸素不足の上、判断能力が低下。僕は【儚く桜のようなガラス細工】のべるを守りたくて、あの【意識】の中で手を伸ばした。けど「手を伸ばせ伸ばすほど」意識は崩れる。
何かしらの力が働いていると僕は感じとっているが、精神統一が難しいな中、よくもべるは静けさを保ち続けた。

何処か【死】を恐れない【危うさ】を感じた。
僕もまわりから危うさを持つと言われているが、彼女は予想外に予測不可能。
推理しても外れクジを引く事の方が多い。死を味わう事が、べるの願いなのか。

それとあの意識の中で聞こえた声。重々しく重厚感がある声で歯が所々抜け落ちている声質。あの声の主は、はたして誰なのかも、分からない。僕にはーーーー。

ハリー「(べるは一体誰と話していたんだろう。僕には、
あの世界の情景はすべてセピア色で塗られた世界。フィルターが掛かった映像みたいに)

フィルターが掛かった映像。
所々、モザイクのようにノイズが刺しこむ。刺しこむのは良いが、何処か断片的に見させられる。背景が断片的で、空間の中に窪みがある。窪みの中に切り込みがあり、切り込みの中に映像が流れている。
オーロラの如くゆらゆらで形を定めていない。類推(るいすい)無しで抽象的な世界。
その上、セピア色で塗られた世界、男で雄(オス)の僕にはわからない。何処か比喩(ひゆ)になるが、
ーーーー鳥籠の中に閉じ込められた姫君。鳥籠の中で手のひらの中の中で、踊らされているべる。

手のひらは一体誰なのか、正体不明な人物の掌(ひら)を切り裂き、殴り飛ばしたい衝動に駆られる。

ーーーーーーーーーー狩猟(しゅり)本能が目覚める。

狩猟本能で正体不明の「人物」に仇討ちするなら、まさしく、打って付け。僕は、普遍的な価値観を捨て、裸の王様気分に浸り、余韻に浸る。
浸っていると、かさかさと生足の音が聞こえる。近づくにつれ、ぺたぺた、と擬音が鳴り響く。
普段のボグワーツでは、きめの細かい音が聞こえることはあまりない。

だが、夜のボグワーツは恐ろしいほどに静かで嫌な味もする。ぺたぺた、ぴたぴた、水のしたる音も聞こえ始める。僕は、音が抱える方角に視線を向けた。
視線の先は、痩躯な身体を包み込む羽織りを纏う女子生徒。