ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ19)

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べるは、ジョーンに後ろから抱き抱えられた事で、すとーんと、身体の力が抜けた。
いままで、ずっと緊張状態であり、その状態から抜けた瞬間でもある。
今までの肩の重さが、すとーんと落ち、心が軽く、暖かい気持ち、居心地良さに包まれた。
そんなべるの様子を、ジョーンは後ろ抱き最中も、横目で見つめている。
ジョーンは、自分と同じような性格のべるが、いつしか【受け止めすぎて】潰れてしまう可能性があると踏んだ。
ジョーンもどこかしら空気を読む志向があり、自分の性格を恨んだ数は数知らず、「他に足をつけ」を軸としてやっているけれど、フラッドに憧れもある。

しかし、このような状態で気が利いた言葉を言えるのは、
ジョーンだ。
べると同じような苦しみ、苦行を修行し、精神統一をしている。
だから、力みながら身体を立たせようとしているべるの姿を見ると、自分が支えてあげたいと思える。

同族心なのだろうか、心が癒える。人の心を蕩けてしまわせる。ゆで卵みたいな熱々さがある。ただ、何処か哀しそうなジョーン。
そうだ、ジョーンは気がついている。もう以前のべるは、
ここにはいない。
記憶の中の牢獄に閉じ込められている。ある意味の成長と
ある意味の破壊。【想像と破壊】【再生と破壊】。

ジョーンは、べるの背中をさする。すると、フレッドがハリーを横抱きしながら、戻ってくる。ジョーンは、フレッドの姿を捉えるとーーーーー。

フレッド「時が来てしまったようだな」

フレッドは、ハリーを横抱きしている。胸板に、ハリーの後頭部が、かさっりと、重なる。ハリーの顔も痩せこけた顔。どこか【層】を思わせる雰囲気、地層のような部分がある。
波のような、ホルモンのようなものが、ハリーとべるから、読み取れる。ハリーは、目蓋を閉じている。
ただ、汗の量が半端ない。フレッドもジョーンと一緒で、
ハリーに水分補給を取らせた。そのあと、氷で額を冷ます。それでも、意識が朦朧とするのだから手立てがない。

シャド「今回は我々の救助で助かったが」

シャドは、フレッドとジョーンをたしなめるような言語を言う。
嗜めているが、何処か【自分の事のように】考えている節がある。
ただ、そんなシャドを、べるは見違えるように怯える。
うまく誘導される視線、とゆったりとした雰囲気に、恐怖を感じる。
同族嫌悪、同族だからこそ、憎悪を見せるほど、べるは、シャドに怯えている。
これは、【ヴォルデモート】の元凶なのか、侵襲的な記憶を蘇られせている。