【続編】幼なじみに失恋しました【神威】

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【神威】




Aとのお泊まりにはかなり期待した。
最近はAとかなり距離が近くなった気がするし、好きな子と一緒に一晩過ごせる。



今夜はなにかあるんじゃないかなって期待で胸が膨らんだ。
でも、少しだけ複雑な気持ちになった。
Aは俺のこと、大切な友達と前に言ってくれた。


つまり俺はAの友達でしかない。
いくら幼なじみへの想いを断ち切ったとしても、俺達の関係は変わらない。


─────なんて思っていたのに。



Aは俺を見て顔を赤くした。
Aの前で上半身裸でいるなんて今に始まったことじゃない。
なのに、どうして照れたの？



Aを見ると胸の奥がキューッと締め付けられた。
そんな顔されたら期待してしまう。
俺は友達の関係を越えてもいいの？
幼なじみなんかじゃなくて恋人としてAの隣にいたい。


いつから俺はこんな奥手になったのかな。
今まで気に入った女は相手のことなんて考えずに手に入れてきた。
なのにAだけは違った。


──────ちょうど二年前から、俺はAを知っていたよ。
いつも親しげな野郎と一緒に登下校していて、その眼差しは完全に恋をしている目だった。


でも相手の野郎は違ったようで、野郎がAに向ける視線はまるで兄妹のような眼差しだった。
Aが顔を赤くする一方、野郎は澄ました顔して別の女─────俺の妹と親しくなっていた。


Aが一人で帰る時は決まって公園に訪れていた。
Aは必ずそこで声を潜めて泣く。
いつしか俺は、そんな他校の女を目で追うようになった。


簡単に手を出そうとしなかったのは、怖かったからだと思う。
どうしてか、Aに嫌われるのは御免だった。


それにAは笑った顔が俺と似ていた。
"見せかけの作り笑い"。
彼女が心の底から笑ったらどんな顔を見せてくれるのか気になった。


でも、それは俺には出来ないことだ。
きっとあの野郎がAを笑顔にさせなきゃだめだ。
そう思って俺は身を引いた。
ただ眺めてるだけで良かった。


なのに、Aが野郎と共に笑顔になることは無かった。
Aは失恋して虚しくその恋は終わりを告げた。


公園で声を大にして泣き叫んだA。
俺はその姿を見てすぐに思った。
────────だったら、俺が笑わせればいい。



失恋した傷心中のAに近づくなんてほんと卑怯だよね。
でも、そんな卑怯な手も俺のやり方だ。
少しでもAが笑顔になれるのなら、それで良い。

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