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それから保健室に行って、頬にガーゼを貼ってもらって冷やすものをもらった

先生にどうしたの、と聞かれたからぶつけましたと答えておいた

一通りの処置を終えた先生は用があるようで、席を外している

保冷剤を包んだタオルを頬に当てていると、祥吾が私の前に屈んだ

左頬を押さえている私の手に自分の手を重ねて、私の顔を心配そうに覗き込む


灰「…A」

貴「……大丈夫だからそんな泣きそうな顔しないで」

灰「結構…腫れてるし、痛いんだろ?首とか歯とか、大丈夫だったか?」

貴「ん、ほんと、へーきだか、ら」


じわりと視界が滲んでいく

やがてポタリと雫が落ちて頬を濡らした


貴「……?」

灰「うわっ、お、おい、マジで大丈夫か?ごめんな、痛かったよな」

貴「ごめ…違う、ちがうから……」

灰「……マジで、悪かった」

貴「あ、」


ぎゅっ、と祥吾に抱きしめられる

それをきっかけに、まるで箍が外れたように私の目からは涙が溢れ出した

泣き喚くわけでもなく、ただ静かに涙を流す

…いつだったか、前もこうして殴られて泣いた記憶がある

殴ったのは祥吾じゃなくて、他の……

誰だったか…

………暗い場所に組み敷かれて、殴られて私は声を殺して泣きながら…何をされた…?


貴「は……っ、あ、い、や」

灰「ッ、」


私はドンッと祥吾を突き飛ばしてしまった

あ…ッ


貴「ご、ごめん、」

灰「A?」


『もう殴られたくないなら大人しくして静かにしてろ。ハッ、悪いようにはしねぇよ…祥吾としてたこと、お前の母親にバレたくないんだろ?』


貴「ぁ…ごめ、なさ…、」

灰「おい、」

貴「ごめんなさい、言うこときくから…も、やだ…っ」

灰「A、何に怯えて…ぁ、まさか、お前…ッ」

貴「も、殴らな、で…大人しくしてる、からぁっ」

灰「だ…だめだ、A!思い出すな、忘れてくれ」

貴「ひっ、」


ぎゅうっ、と抱きしめられて、身体が震える

思い出す?何を?

忘れる?…何を?


灰「もう殴らねぇから」


違う、祥吾が殴ったんじゃない

違う誰かだ


貴「祥吾は悪くない……他の人…」

灰「……忘れろ。俺も今後きちんと気をつけるし、アイツとも上手くやるから。今思い出したことは全部忘れてくれ」

貴「…なんで?」

灰「お前にとって良くないからだ」

貴「ん…」

灰「…落ち着いてきたか?」

貴「……祥吾?」

灰「…悪かった」


ちゅ、と唇に軽くキスをされる

目を隠されて、祥吾の表情は分からなかった

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碧夜叉 - Ωさん» そう言って頂けてとても嬉しいです!嫌われ役は大切だと思いますし、私はそんな彼だからこそ推しになったのかもしれません!これからも応援よろしくお願い致します! (2019年4月17日 7時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
Ω - ここの灰崎愛されてて嬉しい (原作者は灰崎は黒バスファンに嫌われろって思って書いたって言ったの見たことあったし) ありがとうございますここの作者さんと灰崎信者 (2019年4月16日 17時) (レス) id: 421640d4d1 (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - ミリイ(灰崎信者)さん» ミリイさんに可愛いと言って頂けて光栄です! (2019年4月11日 8時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 最高に可愛い祥吾様 (2019年4月10日 7時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2019年3月12日 1時

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