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31話 高ぶる想い ページ31

 
 
 
ともたかさんに言われて、寝室にやって来た。


昼間だと言うのに、カーテンが閉まっていて

薄暗い空気に包まれている。


だいちさんは泊まりで編集していたらしい。




ドアをそっと開けて、壁を盾に覗き込むと

掛け布団をかけずに寝ているだいちさんが居た。





「だいちさん、起きて下さい」





私はカーテンを開けようと試みる。

途端に眩しい光が一気に差し込んでいくが


…起きる気配、なし。



もう少し近くで声をかけようと一歩、前に出た。



すると、床に置いてあった銅鑼(どら)が足にあたって

わずかに音が鳴り響く。




その瞬間、だいちさんが素早く起き上がり

私の腕を掴んで引っ張った。





「わっ、」





私の体はだいちさんの方向へ倒れこんだ。


幸い、勢いで隣の布団に寝っ転がったためか

痛みはない。





「あぶなかっ…あれ、え…Aちゃん!?」





眠そうにあくびをしながら、

隣に居る私に驚いて目を見開いている。





「ともたかさんに起こすように言われまして」





私は急いで体を起こし、座る態勢に整えた。


びっくりした…。

心臓の音が早くなっていくのが自分でもわかる。





「これ、さっきともたかが着てたやつじゃん」





「ともたかさんに借りたんです」





だいちさんは返答の代わりに静かにうなずき、

数秒の沈黙が続いた。



…えっと

この空気に耐えきれなくて私は話を切り出した。





「あの、私はそろそろ行きますね」





そそくさと立ち上がろうとすると、

だいちさんはハッとしたように私を手で制した。





「ちょい待って!あーえっと…動画、本当に出るの?」





なぜか焦ったように私に問いかける。


もしかして、私のこと心配してるのかな。

ああ、だから昨日おかしかったのかも。





「はい。はじめさんのこと信じてますから」





私がそう言うと、わずかに下唇を噛みながら

だいちさんは視線をそらした。





「さっきから俺以外のやつばっかり…」





え、今何て…?

もう一度、確認しようと口を開きかけた瞬間




両手が伸びてきて、体ごと引っ張られる。

気づいた時にはだいちさんの腕の中。



…私、抱きしめられてる。





「ねぇAちゃん、俺に守らせてよ。全部」





だいちさんは優しく私の耳元でそっと呟いた。
 
 

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作品ジャンル:恋愛
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影裏(プロフ) - 更新まってます!! (2022年6月6日 4時) (レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります! 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました!いいお話ですね!一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか? (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました! (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます!いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりんみみ | 作成日時:2018年12月23日 15時

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