24話 重なって ページ24
買い物を終えて、急いではじめさんの家へ戻る。
その道中に早足で歩いていると
「Aちゃん、ちょっと待って…」
私の後ろで荷物を重そうに抱えながら
やふへゐさんは足を止めた。
「やふへゐさん！大丈夫ですか」
振り返り、やふへゐさんに駆け寄っていく。
タイムセールの時間だったということもあり、
思ったよりも買いすぎてしまったかもしれない。
「ごめん、少し休憩していい？」
「はい」
やふへゐさんが歩いていく先は、公園のベンチ。
そこに荷物を置いて息をついた。
「はー…Aちゃん、さすがというか…」
職業柄、宅配業者として荷物を運んでいたから
重い物を持つのは慣れてしまっている。
それにしても…
「公園に来たの久しぶりです」
やふへゐさんの隣にゆっくりと腰かけた。
滑り台やブランコなどの遊具があり、
子どもたちが笑いあって遊んでいる。
「俺は、動画の企画で結構来てるけどね」
やふへゐさんはふぅっと息を吐きながら
大きく背伸びをした。
自然と辺りを見回してみると
視界に捉えたのは、砂場で遊んでいる親子。
バケツからプリン型のケーキが出来上がり、
その上に彩り豊かなお花を散らしている。
「…懐かしい」
この光景が、思い出と重なって見えていく。
子どもたちと一緒に料理をしていた、あの人。
お腹が空いて泣いている子たちを
美味しい食事で一瞬で笑顔に変えてしまう。
…まるで、魔法使いみたいのような存在だった。
ふと目を伏せると手の甲に雫がぽつんと垂れた。
それと同時に、視界がぼやけてみえる。
もしかして私、泣いて…
「…よっし！そろそろ行こうか」
やふへゐさんが勢いよく立ちあがり
私は気づかれないように、袖で目を拭った。
駄目だ、思い出に浸ってしまうなんて。
今は先のことだけを考えよう。
「はい！みなさん、きっと待ってます」
素早く立ち上がり、荷物を手にした。
今日は、笑顔が溢れる食事が作れますように。
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影裏(プロフ) - 更新まってます！！ (2022年6月6日 4時) (
レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります！ 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました！いいお話ですね！一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか？ (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました！ (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます！いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりんみみ | 作成日時：2018年12月23日 15時
