野菜の育て方【はじめしゃちょーの畑】

17話　あの居場所 ページ17

　
　
　
家に着いて、オートロックを解除し

一目散にポストの方へと歩いていく。




私宛の手紙とか来てないかな…




パスワードを入れておそるおそる開けると

そこにあるのは…数枚のチラシだけだった。




それを握り締めて、エレベーターへ乗り込んだ。




自分の階へ着くと、鍵を開けて

ドアをゆっくりと開けていく。





「ただいま」





無造作に靴を履き捨てて廊下を早足で歩き、

バッグとチラシをテーブルに置いて



そのまま自分の部屋のベットに大胆にダイブ。





顔を枕にうずめて、自然と脳内で考える。



…はじめさんの家で仕事をしていてわかった。


誰かがいないと寂しくて仕方がない。

騒がしくて、人の多い所が恋しくなる。




でも、明日もこれからも…


あの空間に居られることが嬉しくて

自然と口角が上がってしまう。




私の頭の中は、みんなと料理のことで

頭がいっぱい。

明日の出勤時刻は今日と同じ時間。





「…よし！」





私は立ち上がり、キッチンの電気をつけた。


冷蔵庫を開けて、何があるか確認をする。





…はじめさんの家、オーブンなかったし

焼き菓子とか作ったら喜んでくれるだろうか。




棚に並んだ料理本の中から1冊を取り出し、

付箋がついたページを開ける。



…前は何度も作ってたアップルパイ。

久々に作ってみようかな。





でもその前に、シャワー浴びないと。




上着を脱いで椅子にかけ、

そのまま洗面所へ移動した。

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