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16話 飲み物 ページ16

 
 
 
夕食も終わり、時刻は20時になろうとしていた。




忙しそうなはじめさんに声をかけ、挨拶を済まし

階段をそっと下りて玄関へと向かう。





やっと終わった。

…1日がこんなに長く感じたのは久しぶり。





「Aちゃん、待って!!」





名前が呼ばれて後ろを振り返ると、

息を切らし走ってきたのはやふへゐさんだった。





「夜遅いし、途中まで送るよ」





急いで私よりも先に靴を履き、ドアを開けた。

ここは厚意に甘えて…





「ありがとうございます」





やふへゐさんの後に続き、外へ出た。





夜は真っ暗で、街灯の明かりが照らし出す。



私とやふへゐさんの足音しか聞こえない。




…何を話そう。




どう切り出そうか、考えていると

隣で歩いていたやふへゐさんの足が止まる。





「Aちゃん、ちょっと自販機寄っていい?」





「あ、はい。どうぞ」





自販機にお金を入れて飲み物を買っているのを

見守ってると冷たい風が体に吹き付ける。



…寒い。



手にはぁっと息を吐いて、温めていると





「お待たせ、これあげる」





手を差し出すように言われ、

ぽんっと軽々しく手のひらに渡されたのは、


熱々のミルクティーだった。





「え、いいんですか」





手にじんわりと熱が染まっていく。



温かい。





「俺、畑に最初入った時は馴染めていけるか不安だらけでさ」





やふへゐさんの話を聞いていくと、


日本一のYouTuberとやっていくのは嬉しいけど

迷惑かけないか、不安の方が大きかったらしい。





「でも、それに気づいたはじめさんが、こうやって飲み物を買ってくれた」





私の持っているミルクティーを指をさした。

…はじめさんとやふへゐさんの思い出。




「それで安心して…Aちゃんにも同じことしちゃった」





「…ありがとうございます」





心までじんわりと温かい。



畑のみんなは、私を気にかけて話しかけてくる。

私もそれに応えていけたら…な。




しばらく歩いていると、家の近くまで来た。





「やふへゐさん、この辺りで大丈夫です」





「あ、ここ?わかった」





私との距離が遠くなり、

やふへゐさんは、手を振り返す。





「また、明日ね」





「はい、また…明日」





お辞儀をして、家の方向へと歩き出した。

17話 あの居場所→←15話 接する距離



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設定タグ:YouTuber , はじめしゃちょーの畑   
作品ジャンル:恋愛
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影裏(プロフ) - 更新まってます!! (2022年6月6日 4時) (レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります! 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました!いいお話ですね!一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか? (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました! (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます!いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりんみみ | 作成日時:2018年12月23日 15時

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