15話 接する距離 ページ15
はじめさんのことが気になりながらも
夕食の準備をしていく。
「この匂いは…！カレー？」
テーブルで編集をしていたたなっちさんが
後ろから覗き込んできた。
「はい、カレーです」
冷蔵庫の中にあった消費期限の近い野菜を使って
カレーを煮込んでいる最中だった。
「よかったら味見してみますか？」
おたまで少しすくって小さい容器にのせ
それをたなっちさんに渡す。
「…うっま！もしかして何か入れた？」
「赤ワインがあったので少し…」
赤ワインは、コクと旨味が出るから
家で作る時は必ず入れるんだけど、口に合うようでよかった…。
「もうすぐご飯も出来ます」
鍋の火を一旦止めて、蒸気の噴き出した炊飯器を見る。
「残り5分」と表示してあった。
「じゃ、俺は下に居るみんなを…あ、寝てる」
たなっちさんの視線の先には
先程、ソファーで編集をしていたともたかさんが腕を組みながら寝ていた。
「…ともたかさん、寝てますね」
「ともたか、起きろー」
たなっちさんはそう言い残し、階段を下りていった。
その言葉に反応し、ゆっくりと立ち上がり
「…はぁい…えと、眼鏡は…」
ともたかさんは、目が完全に開いていない状態で
辺りを見渡している。
…どうやらパソコンの上に眼鏡があるのに気づいていない様子だった。
私はしゃがんで眼鏡をそっと取り
ともたかさんの目の前へ立ち上がった。
「眼鏡、どうぞ」
「…ん…たなっち…背、縮んだ？」
そう言いながら、
私の頭に手をのせてぽんっと優しく撫でる。
勘違いしてる…
「ともたかさん、Aです」
目が見えてないのか、私との距離を一気に詰めた。
…近い…！
「……あれ。Aさん…？」
立ち尽くしてるともたかさんに眼鏡を渡し
目を手でごしごしとこすりながら、眼鏡をはめた。
「えっ、あ…すみません…！眼鏡かけてないのと寝ぼけてたせいで、勘違いしました…」
少し顔を赤らめた表情で深々とお辞儀をしてきた。
「いえ、大丈夫です」
それからほんの数分後、
階段から複数の足音が聞こえてきて
私は心拍数が上がりながら、夕食の用意をした。
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影裏(プロフ) - 更新まってます！！ (2022年6月6日 4時) (
レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります！ 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました！いいお話ですね！一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか？ (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました！ (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます！いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりんみみ | 作成日時：2018年12月23日 15時
