14話 違和感 ページ14
だいちさんのおかげで食器を全て片付け、
食事をささっと済ました。
夕食の準備まで時間がある。
明日、何を作ろうか考えておこうかな…
そう思っていると
「Aちゃん、お疲れ様」
編集部屋からはじめさんが顔を出した。
先程と打って変わって疲れ切った顔をしていた。
「あ、はじめさんお疲れ様です。…編集、大変そうですね」
「いつものことだからね」
ぐっと天井に向けて背伸びをしている。
「あの…休憩でもしませんか？お茶入れますよ」
「お！じゃあ、プリンでも食べない？」
冷蔵庫の中から、ラップで包まれたプリンを取り出した。
あ、そのプリンは……
「冷蔵庫に大量にあったものですよね」
「そうそう。大食いの企画で食べきれなかったやつ…プリン嫌い？」
はじめさんの言葉に首を横に振る。
そっか、大食いの余りものなのか。
茶葉入りのパックを湯呑みに入れ
熱々のやかんからお湯を注ぎ、テーブルへ運んだ。
「Aちゃんは好きな人いるの？」
急な発言に口に入れたプリンがむせそうになる。
けど必死にこらえて平然を装った。
「いませんよ。はじめさんはいるんですか？」
「…いるよ」
…いるんだ。
そりゃそうか、色々と交流がありそうだし。
「そうなんですね。はじめさん優しいですし、きっとすぐにでも…」
「…俺が優しくするのは、Aちゃんだけだよ」
…私だけ？
はじめさんは、真面目な表情でお茶を飲み干した。
「気遣わなくて大丈夫ですよ。あ、おかわりしますか？」
何だかその空気に耐えれなくて、
はじめさんの湯呑みが空なのを理由に席を立った。
えーと、お湯…
「…熱っ！」
動揺したのか、素手で掴んだせいで
やかんを落っことしてしまいそうになる。
「ちょっ、大丈夫！？」
はじめさんが急いで駆け寄り、私の手を取った。
そして、慎重に温かい手が触れる。
「一瞬だったので、何ともないです」
「…よかった。ごめん、今のは俺が悪い」
そう言って、私の手をそっと離した。
何だろうこの違和感は。
いつものはじめさん…じゃないような。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 603人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
影裏(プロフ) - 更新まってます！！ (2022年6月6日 4時) (
レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります！ 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました！いいお話ですね！一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか？ (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました！ (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます！いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みりんみみ | 作成日時：2018年12月23日 15時
