13話 甘い考え ページ13
はじめSide
＿＿＿＿＿＿＿
編集画面をじっと眺めて頬杖をついていると
「……さん。はじめさん！聞こえてる？」
その声に気づいて我に返る。
たなっちが不思議な顔で俺を見ていた。
「あ、ああ。ごめん、ボーッとしてた」
いけねぇ…
たなっちと大事な話の途中だった。
「しっかりして下さいよ。何やってんすか」
呆れた顔で俺を見た後
自分のパソコンへと視線をうつした。
「それで続きですけど。Aちゃんに仕事を頼んだ理由は？」
「あ、えーっと…それは…だな」
恥ずかしくて言えるわけがねえ…！
「どうせはじめさんのことだから、Aちゃんが好きで…」
うわ、口に出しやがった！
「ちょっ、しーっ！Aちゃんに聞こえるって！」
俺はたなっちの口を塞ごうと椅子を立つ。
しかし、それをさらっと受け流される。
「聞こえませんよ。だいちくんとのお喋りに夢中ですから」
半開きのドアの隙間から
Aちゃんとだいちが食器の片づけをしている。
…羨ましい。俺も編集が終わってれば…！
俺は声のトーンを低くしながらぽつりと呟いた。
「…Aちゃんが配達の仕事辞めたら、もう会えねえじゃん」
畑が出来る前から、荷物を届けてくれてたのが日課だった。
気づけば彼女を目で追ってしまって。
それが、突然辞めるとか言い出してそれで…
「それで焦ってたら、料理得意なの知って咄嗟に出たのが…」
「Aちゃんに料理を作って貰うことですか」
たなっちが待ち構えていたように俺の続きを言った。
…図星を突かれて何も言えない。
「さっきの提案のやつ、Aちゃんとの距離は一気に近づきますけど」
あの週に1度、一緒に料理をする提案か。
たなっちは、椅子から立ち上がり俺の隣にやって来た。
「…はじめさん、周りをよく見て下さい」
たなっちの視線の先には
…だいちがAちゃんの顔に触れている姿が見えた。
おい、嘘だろ…。
「はじめさんが思ってるよりも、周りは動いてます」
ドアがゆっくりと大きく開き、
「…もちろん、俺もです」
そう言って、編集部屋を去って行った。
…たなっちに言われて気づいた。
俺は考えが甘かったらしい。
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影裏(プロフ) - 更新まってます！！ (2022年6月6日 4時) (
レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります！ 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました！いいお話ですね！一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか？ (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました！ (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます！いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みりんみみ | 作成日時：2018年12月23日 15時
