野菜の育て方【はじめしゃちょーの畑】

2話　お届け先 ページ2

　
　
　
目的地の隅にトラックを止めて停車をする。

すばやくドアを開けて後へ小走りし





「えーと…あ、これか」





軽い大きなダンボールを1箱抱えて

目的地まで運んでいく。





そう、私の仕事は…宅配業者。




この仕事に就いて、3年の月日が経過した。


私はこの地域の配達を任されているため


すっかり顔馴染みになってしまった。






宛先の住所を確認し、階段を駆け上がる。






すると、目的の建物に着いた。






ここは、とある有名なYouTubrの家。

最初来た時は、驚いたけど今は慣れてしまった。





私はインターホンを押し、お腹から声を出す。





「こんにちは！宅配便です！」





しばらくすると「はーい」と声が聞こえて


ドタドタと足音が鳴り響くのが分かった。






ドアが勢いよく開いて





「あ、Aちゃん！久しぶり」





くしゃっと歪んだその優しい笑顔は




顔馴染みのだいちさんだ。





「紙にハンコをお願いします」





私はすぐさま紙を出し、だいちさんに渡す。





「はじめさん、一体何を注文したんだか…」





だいちさんは、小さくため息をついた。




かれこれ2週間ぶりだろうか。


いつもと変わらないやり取りに安心する。





「はい、これ」





だいちさんから紙を受け取り、それを確認し





「はい、では荷物です」





私は、だいちさんにダンボールを渡した。





「ありがとうございました」





私はお辞儀をしてその場をさろうとする。





「あ、ちょっと待って！」





いきなり手が伸びてきて、私の右手を掴む。





「…Aちゃん、元気ないね？」





はっと我に返ると、


だいちさんが見透かすような表情で私を見ていた。





「俺でよければ話聞くから、今度食事でも…」





「…っ。仕事中ですので」





私は再びお辞儀をして駆け足でその場を去った。




何でだいちさんには分かってしまったんだろう。



いつも通りに過ごしていたはずなのに。

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