あの子は何色？ 【国見英】

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国見side


*｢私の何を知ってるの？｣



晴来｢私、親いないんだよね｣

国見『は？』


不意に出た言葉だった。何を知っているか、そんなことを問われられ誰がどう答えるべきなのかなんてすぐに思い付く人はいるのだろうか


さっき煽ったのは、正直言ってわざとだ。いつもだったらあんなことしない。
面倒くさいから

でも、誘ったのは俺で、ここまで付き合わせたのは俺だ。貸しもあるし。
個人的に気になることもあったから、少し挑発を仕掛けただけだけど＿＿＿＿＿＿＿＿＿




晴来『描いてたよ、頑張ってたよ。
貧乏な暮らしの中スケッチブックとクレヨンを使ってさ、わがまま言ってお母さんに買ってもらったりしたっけな』

でももう買ってくれる人なんか居ないし


さっきまで口に含んでいたスプーンなんか食べかけのパフェに突き刺し、顔は俯かせどういう表情をしているのか分からない。

けど

重い話だということだけは分かった。
さっき言った自分の言葉を思い出す。
"もったいない"

…あーあ、これまた言葉選びミスったな。また地雷踏んでるし

そう思ったけど、どこか他人事だった。



｢国見くん｣

国見『…ごめん、なに？』

｢私の何を知ってるの？｣



『ごめん、なんも知んない。けどさ＿＿』

それは、いつもよりつらつらと右から左へ流れるような発言だったと思う。

国見『がむしゃらじゃなくていいから。
本気じゃなくていいからさ』



俺がもうちょい晴来さんの絵を見せて欲しい。なんて嘘事言ったら、まずいかな。









△▽

晴来side


本当はもう、描きたくなかった。
お金が無いからとか、そういうんじゃなくて。


"Aはいい画家になるね"


もうお母さんに見せられないのに。これ以上続ける意味なんて見つかんない、これ以上描くことは裏切り行為なんじゃないかと考えたから。

晴来『ごめん…いろいろ言って、』

国見｢別に俺も、知ったかぶってるような口聞いたの俺が先だし｣


そもそも、冷静に考えたらわかる話だ。
なんで国見くんがあそこで挑発してきたか、そこまで絵を続けて欲しいなら、直球に言ってくればいい話だけれど


晴来『いいよ、国見くんも考えてたんでしょ。
煽ってきたのも意図的に』

でも、よく分からない。
いつも面倒くさげに授業を受けている国見くんが、ここまで他人に心情を持てるのかと思ったら不思議である。





国見｢良ければ、聞かせて"気になる"から｣

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