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大人しくなった
と、言ったら良い言い方になってしまうから
暗くなったと言った方が正しい
こんな私には眩しすぎる清々しい空を嫌でも見てしまう窓側の席の私に彼は話しかけてきた
「なぁ、A」
同じクラスだけど久々に近くで声を聞いた気がする
西谷夕
『…なに?』
「俺、そろそろ部活に戻れるんだ」
あぁ…そっか、西谷は旭さんと色々あって…
ってその頃には部活に行かなくなってたから詳しくは分からないけど
それで何だろう
西谷が部活に戻れるから何だって言うのか
私には関係ない
『そっか良かったじゃん』
「俺が言いたいこと分かってるんだろ」
『…』
分からないフリをしたい
でも西谷の事だからきっと誘うんでしょ
「なぁ」
『行かない』
「…何でだよ」
『それこそ西谷が一番分かってるでしょ』
「お前、その呼び方ッ!!」
『お願いだからほっといてよ!!』
ようやく西谷の顔を見て言うことができた言葉がこれ
久々に近くで見た西谷は完全に怒っていた
何に怒ってるのかだって分かる
怒らせて当然の事を言ってるのも分かる
でも
『…もう……嫌なの私』
しっかり言えない私を許してとは言わない
言わなくてもきっと分かっちゃうんでしょ
貴方なら
黙ってどこかへ行ってしまった西谷の背中を、私は見ることができなかった
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作者名:レサ汰 | 作成日時:2020年2月16日 22時