〈 LAST 〉 ページ48
…
「そうくんとギクシャクしたのも、きっとAさんが好きだから。
自覚したのはその後だったけど…。
自分でも恥ずかしくなるくらいAさんのこと好きだったみたい。嫉妬するなんて初めてだった。」
固まっていた表情筋は次第に大きく動いて、私は口を半開きにして目を見開いた。
きっとすごく間抜けな顔だろう。
いぶさんは、困ったように笑っていた。
その顔はほんのり赤い。
「え、えと…あの…え!?」
「急になんだよって感じだよね。
でも…そういうこと、です…。
あの…、」
いぶさんは座り直して私と向き合う形になった。
真っ直ぐ見つめられるから、その目を見つめ返す。
「僕と、付き合ってください。」
「喜んで!!!!!」
自分でもびっくりするくらい食い気味に言った。
こんな可愛げのない告白の返事があるだろうか。
嬉しくて涙、というわけでもなく、ただただ夢みたいで体が落ち着かなかった。手のやり所にさえ困って忙しなく午後ティーを飲んでいる。
だけど、こんなにあっさりしちゃっていいのかな、とも思った。
いぶさんはもしかしたらすごい決心してから告白してくれたのかもしれないのに。
もっと溜めた方が良かったかも…。
と、考えていたらいぶさんも落ち着きなく午後ティーを飲んでいた。
その様子を見て、なぜか気持ちが落ち着いた。
「あのさ…」
いぶさんが呟いたから顔を見ると、コップをテーブルに置き、まゆを下げながら弱々しく笑っていた。
「先に謝っておく、ごめんね。」
「え?」
ごめんねの意味を理解できないまま、いぶさんはメガネを外すと立ち上がりこちらへ近づいてきた。
そしていぶさんの両手は私の背中と膝の裏に回った。
ひょいと持ち上げられる。
つまり、お姫様抱っこ。
「え、いぶさん?」
問いかけるも返事はない。
そのまま歩いてどこかのドアを開けた。
夜だから窓から差し込む月の明かりだけでは暗くてはっきり見えない。
ドアを閉めると、部屋の奥の方に行き私をそっと優しく降ろした。
ふわふわしてるから多分、ベッドの上。
とか呑気に思ってたら、そのベッドの上にもうひとつ体重がかかった。
「…段階を踏めないのは、僕も同じみたい。」
私の上に跨るいぶさんは、小さく微笑んだ。
その顔はいつもと違う、"男の人の顔"だった。
「好きだよ、A。」
______こんな状態で会いに行ったらきっと、襲っちゃうよ。
Fin.
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sun(プロフ) - ゆきのさん» ゆきのさんありがとうございます〜!男いぶくんかっこいいですよね…(自分で書いておいて)いぶくんとのラブラブですね、了解です(´ー`*)頑張ります! (2018年8月26日 9時) (レス) id: 2b179db437 (このIDを非表示/違反報告)
sun(プロフ) - らお。さん» リクエストいただければ書きますよ!!!笑 (2018年8月26日 9時) (レス) id: 2b179db437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - あと良ければ、いぶくんとのラブラブをみたいです!勿論このベッドの続きでもいいですよ(は?)なんかお家デートしてるようなとこをみたいです〜!お暇がある時に是非!(;_;) (2018年8月24日 23時) (レス) id: 535a1c3644 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 待ってください、最後のいぶくんかっこよすぎませんか!?もう好きです、、!あと完結おめでとうございます!次の作品もすごく楽しみです!応援してます(;_;) (2018年8月24日 23時) (レス) id: 535a1c3644 (このIDを非表示/違反報告)
らお。(プロフ) - sunさん» ふぁっ....!?え、嘘ですよね...え、続けるためだって言ってください!!ねぇ!!() (2018年8月24日 20時) (レス) id: 83d4f0d0f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sun | 作成日時:2018年5月13日 19時