声が出ない君へ −佐野玲於−

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−貴女 side−


スケジュール帳を拾ってくれた2人組の男の子

スケジュール帳の中には家族写真が入っている



永久「玲於くんに、律くん！ありがとね！」



永久くんはいつも隣にいてくれる

学年が違うから授業中もってわけにはいかないけど


私のかわりにお礼を言ってくれた


私もお礼くらい言いたいのに…


そう思いながら、3人を見ていた


すると



玲於「ねぇ」



気づけば、目の前に佐野玲於さんが立っていた



玲於「俺、佐野玲於。よろしく」



私も、自己紹介した方がいいかな



“朝乃Aです、こちらこそよろしくお願いします”



玲於「うん」



うん、と答えてくれた佐野玲於さんは少し笑った

綺麗な笑顔…


佐野玲於さんたちと別れたあと



永久「さっきの子気になってるの？」



“どうして？”



永久「そんな顔してるから」



“私もちゃんとお礼が言いたいなって”



永久「A、俺がいるから気にしないの！ゆっくりいこ？」



“うん、ありがとう”



永久くんはいつも優しい


身寄りがなくなった私を支えてくれたのは永久くん


永久くんは焦らなくていいって言ってくれるけど

このまま声が出なかったらどうしようって


毎日のように考えちゃう


ずっと闇の中にいる感覚がする


いつまでこれが続くのかな…

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