声が出ない君へ－佐野玲於－ (ページ2)

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律「えーっと、どこにいる？」

玲於「分かんね」

だいたい、今日初めて見たんだから

そんなすぐ見つかるわけないよな

ウロウロしながら、例の子を探していると

後ろから肩をつんつんとされた

玲於「ん？…あ」

律「見つけた！」

その子は紙に何かを書き始めた

“その、スケジュール帳”

玲於「あぁ、そう。君に届けようと思って」

“探してたんです、ありがとう！”

玲於「うん、もう落とすなよ」

“はい！あの、お礼を”

バッグの中から出てきたのは

玲於「チョコ？」

“今、こんなものしか持ってなくて”

玲於「お礼とかいいのに」

律「優しいんだねぇ」

“このスケジュール帳に大事なものあったので、ほんとに感謝です”

玲於「そっか、良かった」

“それじゃあ、失礼します。ありがとうございました！”

永久「A！」

律「改めて見ると、やっぱイケメンだ」

玲於「やばいね」

永久「スケジュール帳を？」

貴女「ｺｸｺｸ」

永久「あ、さっきぶつかった子たちだね！」

玲於「はい」

永久「えっと、名前聞いても？」

玲於「佐野玲於です」

律「北村律です！」

永久「玲於くんに、律くん！ありがとね！」

玲於「いえ」

律「いえ！」

ちらっと永久さんの隣にいる朝乃Aさんを見た

玲於「……」

笑ってるけど、寂しそうな顔

なんか遠くを見てる感じ

玲於「ねぇ」

気づけば俺は声をかけていた

貴女「？」

玲於「俺、佐野玲於。よろしく」

“朝乃Aです、こちらこそよろしくお願いします”

玲於「うん」

2人と別れたあと、律が驚いた顔して聞いてきた

律「なんでよろしくとか言ったの？」

玲於「だめ？」

律「玲於って、あんま自分から女の子に話しかけることないじゃん！」

玲於「なんでだろ。分かんねーや」

あの子の顔を見たら

勝手に言葉にでてた

ほんとになんでだ？