【銀魂】妻の名前が呼べない夫

第一訓 ページ1

地球にて



｢梅の花は綺麗だなァ。｣



｢そうですね。
でも、一輪しか咲いてませんね。｣



｢それでも、梅は梅だ｣



｢全くです。
梅の花 一輪咲いても 梅は梅
という俳句を読んだ人もいるそうですよ。｣



｢それは、何処ぞのニコチンマヨラーのモデルとなったヤツじゃねぇか。｣



｢よく知っておられますね。｣



｢あァ。｣








私たちの間に恋情なんて言う美しいものなんてない。

あるとするならば一方通行、






でも、傍から見れば仲むずましい夫婦だろう。






それは形だけ。






｢晋助様。


おうの様がお見えです。｣




晋助さんの元に愛人であるおうの様が来る。


2人は互いに恋情を抱いている。




彼は遠慮気味にこちらを見た。



私はにこりと笑って



｢行ってあげてください。
おうの様、貴方に会いたいと思うので。
私は神威に会ってきますから。｣





そして私は第七師団団長の神威とそれなりの仲だ。




それなりの仲というのは、友人関係ではなく、恋愛関係として。




つまり、私たちはダブル不倫をしているのだ。





政略結婚だ。これくらい普通だ。






晋助さんの顔を見上げると眉毛がピクッと動いた気がする。




ボソリと何かを呟いたが片耳の聞こえぬ私には届かなかった。





彼は私に背を向け今か今かと待ちわびるおうの様の元へと向かった。





そして私も彼と真逆の方向に足を進め、神威の元へと向かう。






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梅の花 一輪咲いても 梅は梅




知ってる方はいると思いますがこれは土方十四郎のモデルとなった土方歳三さんの俳句です。
豊玉発句集というものに載ってました

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