器用貧乏の十七手 ページ22
話し終わったのかルリは墓地山から静かにゆっくりと降りてきた
その表情はさながら聖母マリアのような、そんな慈しみに溢れた表情だった
Aはそんなルリを一瞥し、すれ違うようにして墓地山へと登った
勿論気付かれないよう
何かを耐えるように俯いていた顔を上げ千空の背をAは音も立てず、静かに見る
(あぁ、泣いているのかな
あの燃え盛るようなファイヤーオパールの瞳から透明な美しい雫をこぼしているのか
あぁ、なんて＿＿＿＿＿
ゾクゾクと
「せんくう」
と声を出すも誤魔化しきれない熱が込められていた
しかし、とうの千空は急な声にピクリと肩を揺らし驚くだけで熱のこもった声に気づかずゆっくりと振り返る
目は濡れ目元は紅く染まっているら耐えるように寄せられた眉は眉間にシワを作る
そんな千空を
隠しきれない熱がその息に籠っていた
「なんだ、A」
落ち着きのある千空の声にAは、うん、と気の抜けた返事を返す
「＿＿＿＿＿･･･君と、否、
間が悪くて悪ぃな
時間もそう無いから今のうちにと思ってよ
なぁ、千空
私もソコに行っても良いか？」
千空は不思議そうに首を傾げるもコクリと頷く
許可を得たAは千空の隣に立ち視線も身体も千空に向ける
開ききっていない瞳をスっと細め千空を見るA
数秒の沈黙の後にゆっくりと唇を開いた
「千空、
･･･ここで言うの場違いか、否、此処が最適かもしれないな
私
私は＿＿＿＿＿人を殺’すことが出来る」
千空はAの言葉に目を見開くと少し固まり冷静を取り繕うように、何故それを俺に、と発すも瞳は誤魔化しきれないほど揺れていた
「もう一度言うぞ
私は人を殺’せる
なんの罪悪感も感じず、的確に
相手を肉塊に出来る」
「だから、何でソレを、俺に
何で、今なんだ」
Aは千空の問に応えることはせず目線を月をと向けた
「だが、
私は基本、
なぁ、千空
私を追い出すか？」
千空へと戻したAの瞳には激情は見られず、凪のように穏やかだった
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←器用貧乏の十六手
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Dr.STONE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木天蓼(プロフ) - みつほさん» ありがとうございます！最近忙しく更新が遅れていますが今後とも何卒よろしくお願いしますね (2020年6月9日 0時) (
レス) id: ff97788898 (このIDを非表示/違反報告)
みつほ(プロフ) - おもしろいです！ワクワクしちゃいます！楽しみにしてますね！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: 0b64c54677 (このIDを非表示/違反報告)
木天蓼(プロフ) - アンちゃんさん» ありがとうございます！気長に待っていて下さい！ (2020年2月19日 1時) (レス) id: ff97788898 (このIDを非表示/違反報告)
アンちゃん(プロフ) - 続き楽しみに待ってます!! (2020年2月18日 21時) (レス) id: ed87f9c1d8 (このIDを非表示/違反報告)
木天蓼(プロフ) - harumiさん» ありがとうございます！もう、そう言われちゃうと頑張るしかないですね！更新を出来るだけ早くするように善処しますね！ (2020年1月2日 2時) (レス) id: ff97788898 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木天蓼 | 作成日時：2019年11月21日 0時
