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校門を出ると、ぷつん、と何かが切れたように足が止まった。
後ろを振り返っても、追いかけてくるあいつの姿なんてない。
最後まで俺が求めてたのは、自分から話しかけて行くわけでもなく、気づいてくれる、と勝手に決めつけていた藤ヶ谷の姿だった。
ぱっと脳裏に浮かんだ玉ちゃんは、ニヤリと笑ったような気がした。
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藤ヶ谷side
玉「ありがとうございました」
藤「…」
目の前にいるのは、北山を襲った張本人。
山下「ん、喧嘩は程々にね」
玉「はい」
行こ、と玉に手を引かれた。
山下「藤ヶ谷」
そう名前を呼ばれて振り返る。
北山と重なる。
なんだよ、振り返って睨みつけた。
山下「診察の紙出てないんだけど」
藤「え？」
山下「ごめん玉森くん、先出ててくれる？」
藤「…」
玉「はい、ガヤさん、先に教室戻ってるから」
俺は頷く。
玉は静かに出ていった。
パタパタ、と足音が遠ざかって行った。
沈黙を遮るように息を吸った山下先生。
山下「…まあ、嘘なんだけど」
山下「北山くんは？」
藤「…さっきの玉の傷の原因です」
藤「北山が玉に嫉妬して、喧嘩しちゃったみたいで」
山下「で？北山どこにいんの？」
藤「…屋上です。
…多分。」
山下「多分、ねぇ。」
お前に入るところなんてない、そう遠回しに伝えた。
すると山下先生は興味無さそうに窓の外を見た。
山下「藤ヶ谷くんってさ
意外と子供だよね」
藤「は？」
山下「君の見る景色がホントの景色とは限らない。」
山下「例えば、この窓の外の景色。
窓に貼り付けられている景色だったら？
窓を開けてみたら、ホントの景色が違うかもしれないよね。」
先生は意味深そうにそう言ったが、俺にはさっぱりわからなかった。
山下「大切なものはなくしちゃダメって習っただろ…
…下駄箱。見てきな」
***
保健室を出て直ぐに下駄箱に向かった。
北山のことだろうか。
山下先生は何を心配して…
…！！！
下駄箱を見て、俺は固まった。
藤「北山…？！」
いつもの少しかかとの潰れた靴が、見当たらなかった。
山下『大切なものはなくしちゃダメって習っただろ…』
山下先生の言葉が、何度も何度も繰り返される。
静かに1滴、涙が伝った。
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なこ - こんにちは。この小説を読んだものです。藤ヶ谷くんと北山くんに没頭してしまいました。玉森くんと二階堂くんの三角関係がどうなるのか楽しみです！作者の人物構成がとても面白いですね〜！楽しみに待ってます！応援してます。 (2022年3月13日 10時) (
レス) @page38 id: 794528905b (このIDを非表示/違反報告)
藤北ラブ(プロフ) - 続きが読みたいです！ (2021年8月24日 0時) (レス) id: 2f93b320f2 (このIDを非表示/違反報告)
藤北ラブ(プロフ) - 続きが見たいです！ (2019年11月17日 1時) (レス) id: 2f93b320f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉森海叶 | 作成日時：2019年1月5日 18時
