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准くんの家は私と剛の家の前のマンションだった。
「この前引っ越して来たのってもしかして准くんだった?」
「そうかも」
「目の前だったんだね!」
少し立ち話をしていると、そこに剛も帰って来た。
「あ、剛、私のクラスに転校して来た准くん。」
「おう」
「剛くん?よろしく」
「ああ」
剛はじっと准くんの顔を見てから素っ気なく家に帰っていった。
「なんだ、剛のやつ。ごめんね准くん。」
「大丈夫だよ、じゃそろそろ帰ろっかな」
「うん、じゃあまた明日ね」
最後にLINEを交換して、それぞれ家に帰った。
次の日の帰り、下駄箱でたまたま剛と会った。
「あ、剛」
「帰んの?」
「うん」
他愛もない会話をしながら帰り道を歩いていると、途中で子犬の鳴き声がした。
「雨なのに犬鳴いてんじゃん」
「あ、ここに居た」
木の陰に子犬が1匹捨てられていた。
中にタオルの敷かれたダンボール箱には[拾ってください]と書いてあった。
「本当にこういうのってあるんだな」
「そうだね…」
しばらく私も剛も子犬の可愛さに動けなくなって、可愛いねって言いながら遊んだ。
でもどうしたらいいのかわかんなくて、でも見捨てるわけにもいかない…と思ってたら剛が口を開いた。
「井ノ原くん、動物飼いたいって言ってなかったっけ?」
「そうなの?」
「この前LINEで言ってた」
「…お兄ちゃんとLINEでそんな話してんの?」
「いや、井ノ原くんが送ってくるだけ。俺は既読だけつけてる。」
だろうね、そんなとこかと思った…。
結局私の家に子犬を連れて帰って、一目見てすっかり子犬を気に入ったお兄ちゃんと剛と私の3人で親を説得して、うちで飼うことになった。
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作者名:たすく | 作成日時:2017年8月17日 16時