生意気な後輩と１３日目 ページ13
「あ、エミさん。図書委員の仕事？」
「Aさん、こんにちは。そうですよ」
「図書委員も大変だね。サボる人多いでしょ」
「そうですね…図書委員はサボりたくて入ってる人が多いかもしれないです」
私は本が好きなので苦痛じゃないんですけどね、なんて本を口元まで持ってきて照れたように笑みを零す彼は何とも綺麗で思わず言葉を失いそうになる。
こんな素敵な人なのにどうして恋人ができないのであろうか。
「今は何してるの？」
「本の貸出状況のチェックです。最近期間内に返さない人が多くて…」
「大変そうやね…。なんか手伝おうか？」
その言葉にキョトンとした表情をする彼。
もしかすると迷惑だったのかもと思い、別に強制じゃないよ！と慌てて首を振ればふふ、と小さく笑いの声が零れたのが聞こえた。
「Aさんさえよければお手伝い願いたいです」
「うん、まかせて！」
「それじゃあ本のラベルチェックをしてもらっていいですから？ボロボロになっていたりしたものはこのかごの中に入れておいてくれればいいので」
「うん、わかった」
よろしくお願いしますね、と軽く礼をして再度自分の仕事に取り掛かる彼。
しばらく個人の仕事に熱中していると、あ、と突然エミさんが声を上げた。
「そういえばAさん図書室に用があって来たのは？」
「んーん、人待ちだから大丈夫。…待ち合わせとかで使ってもよかった？」
「静かにしてもらえるなら全然構いませんよ」
「エミさんが優しくて良かったぁ…」
「答えにくかったらいいのですが、待ち合わせの相手って…？」
えっとね、と言葉を続けようとしたところで図書室の扉が開く。
ふいにその方向を向けば、思ってもなかった人物が立っていて。
「チーノ、くん…？」
「…先輩帰るで」
「え、なんで…」
私の疑問を征するかのように口を開く彼。
「エミさん、これ俺のやから取ったらあかんで」
「言われなくても取るつもりありませんよ。Aさん、お手伝いありがとうございました。あとは一人でできますので」
「え、えっと…」
「それではまた明日」
あ、うん…と戸惑いげに答えれば、チーノくんに力強く腕を引っ張られてそのまま手を繋がされた。
「ち、チーノくん…」
「…」
「い、痛い…よ…？」
「っ、ご、めん…なさい」
熱い手が、そっと離れた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 842人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
芽樹。(プロフ) - 「かぎかっこ」さん» ありがとうございます。｢かぎかっこ｣さんのコメントが嬉しくてこちらまでにこにこしてしまいます。こちらこそいつも癒しをありがとうございます。ゆっくりではありますが、お待ちいただけたら幸いです。 (2019年9月20日 1時) (
レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - 完結おめでとうございます。お疲れ様でした！最初から最後まで2人が可愛くてずっとニコニコしながら読ませて頂きました。癒しをありがとうございます！次作も楽しみに待っておりますので、芽樹。さんのペースで頑張って下さい。応援しております。 (2019年9月19日 15時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - まうるさん» コメントありがとうございます。ciくん沼へいらっしゃいませ！これからもciくんの魅力を伝えられるように頑張ります！ (2019年8月29日 7時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
まうる - ciくん沼にハマってしまいましたわ.....ありがとうございます (2019年8月29日 2時) (レス) id: a48c43d4d7 (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - ソルティングさん» いえいえそんな！改めてリクエストありがとうございました。励みの言葉とても嬉しいです…！頑張ります！ (2019年7月15日 5時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芽樹。 | 作成日時：2019年6月10日 20時
