よんこめのおんがえし ページ4
「俺が布団で寝ます」
「いや、私が布団で寝るよ。ショッピくんはベッド使って？」
「嫌です」
何度言っても首を横に振るばかりで言うことを聞いてくれようとはしない彼。
ううん、と少し考えてじゃあ…と言葉を続けた。
「ショッピくんがベッドで寝ないって言うなら、無理矢理ベッドに連れ込んで一緒に寝ちゃうよ？」
ここまで言えばいいでしょ！と自信満々に言えば、私の予想とは裏腹に彼は満面の笑顔で頷いた。
「…あれ？」
「はやく寝ましょう！」
先程の彼とは思えないほどの素早くベッドに飛び乗り両手で枕を抱きしめる彼。
今更冗談なの、とは言えるわけもなく。
目を輝かせる彼の元へ行けば抱きしめていた枕をぽい、と投げ捨てて私の腕に抱きついていた。
あれ？こんなに大胆な子だったっけ…？
少ししどろもどろとしてしまったものの、彼の可愛さで埋め尽くされてそんなことも気にならなくなってしまう。
「おやすみなさい、お姉さん」
「…あ、あの、ショッピくん」
「どうかしました？」
不思議そうに頭を傾げる彼は眠いのか、少し瞼を閉じかけていた。
「あ、いや…ううん、明日でいいよ。声かけちゃってごめんね」
「んー…お姉さんの要件聞いてからじゃないと、寝ないです…」
なんて言いつつも彼は今にも寝てしまいそうで。
私は急いで要件を伝える。
「その、そんな大事なことじゃないんだけど…私そんな若くもないし照れくさいからお姉さんったやめて欲しいなぁ、とか…」
「えぇ…お姉さんまだ若いし可愛いと思いますけど…？」
小さい子供にお世辞を言われるとなると、なんだか複雑な気持ちになってしまう。
「で、でも…やっぱり気になるから…」
そう言うと、わかりました…と寝ぼけ頭でそう言って私の手を小さな両手で包む。
「おやすみなさい、Aさん…」
突然の名前呼びに思わずえ、と声が漏れた。
しかし彼はそれを気にも止めずに眠りの世界へと行ってしまったみたいだ。
「心臓に悪いなぁ…」
空いた手で彼の頭を優しく撫でれば嬉しそうに微笑んだような、そんな気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 415人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rimu@他力本願寺建設完了！ - 最後の「(名前)先輩」ってどういう意味なんですか？自己解釈だとまた転生して､､､。ってことですかね？と言うか泣きました。目からアラル海。 (2022年5月31日 22時) (
レス) @page31 id: 8604b433e3 (このIDを非表示/違反報告)
零こうたろう(プロフ) - コメント失礼致します。いや本気で泣く、、、めっちゃ感動しました！最後が以外だけど、そこも好きです！本当に感動(語彙喪失) (2022年4月4日 11時) (レス) @page27 id: 8d40178834 (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - 優希さん» 最後までお読みいただきありがとうございます。自分ではあまり上手くかけたとおもっていなかったのでそう言って貰えるととても嬉しいです…！ (2019年7月31日 8時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - 舞刃さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。待っていていただいたのに拙い文での返信となってしまい申し訳なかったです…。 (2019年7月31日 8時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。最後では、泣いてしまいました。とても感動できるいいお話でした。手紙の内容や、最後転生？して反対の立場としての出会い、恩返しをする前の出会いが描かれていて更にうるうるとしていましました。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年7月31日 0時) (レス) id: dbd9bf7781 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芽樹。 | 作成日時：2019年7月16日 20時
