【d!】し.ょ.っ.ぴ.くんのおんがえし【syp】

じゅうにこめのおんがえし ページ14

「おはよー、ございます…」
「ショッピくんおはよう」

ふわぁ、と小さく欠伸をして頷く彼の目の下にはくっきりと隈が浮き出ていた。

「寝不足？大丈夫？」

そう言って目元に触れれば、少し焦ったような顔をしたあとに大丈夫です、と笑った。
つくり笑顔なんてすぐわかって、何かあったの、と聞きたかったけれど彼の瞳がそれを許してはくれなかった。

「あとで温タオルのせようね」
「じ、自分でやるので！大丈夫です！」

それは、私がいなくても大丈夫ってこと？
私は、必要ないってこと？
そうしたら、私の居場所はどこになるの？

子供みたいに幼稚な考えをどうにかして振り払う。

構いすぎもよくないよね、と自分に言い聞かせた。

「タオルだけ置いとくね。やけどに注意しないとだめだよ？」
「はい」
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」

ふわふわとしたパンケーキを口に含む。
甘酸っぱい苺味のジャムは、なぜだかしょっぱくて。

「…A、さん…？」
「っ、ご、ごめんっ…目に、ゴミ入っちゃったかなぁ…？」
「あのっ、俺＿＿」
「やめて」

彼の口を覆えば、もが、と少し苦しそうにする。

「謝らないで」

ショッピくんは悪くないから。
今も、'あの頃"も。
貴方は悪くなんてないんだから。

耐える力がなかった私が悪かったんだから。

「…ごめんね」
「何が、ですか？」

彼の声は震えていた。
私はそれに心の中でこう答えた。

何がってそれは、全部、全部だよ。

胸がぎゅっと苦しい。

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