〈緑の扉2〉 ページ2
そこに居たのは見慣れた顔。
黒い真選組の隊服に包まれた白い肌は赤黒く火傷していて、茶色い髪は幾らか焦げて黒くなっている。
こいつは真選組1番隊隊長、沖田総悟だ。
嘘じゃない。見間違えでもない。
「ねぇ、聞いた?あそこに倒れてる人真選組だそうよ?」
「あぁ…あのチンピラ警察か…」
「近くにいる人誰かしらねぇ?」
そんな声が周りから聞こえる。
小さくたって俺には聞こえるんだ。
おかしいよな総悟。
あんなにも恨んでいたのに
あんなにも邪魔だと思っていたのに
いざこうしてみると悲しくてたまらないんだ。
たまらず、涙がこぼれ落ちる。
職業柄いつ死んだっておかしくないのは分かってる。でも、でも―
それから何時間か経って総悟は亡くなった。
その死に様はとてもではないが幸せそうには見えなかった。
こいつがなんでこんな目に合わないといけないのだと、なんで自分は総悟を見てやることが出来なかったのかと後悔さえした。
それからも攘夷志士のことやらなんやらで身近な隊士がどんどん死んでった。
普段だったらすぐ吹っ切れてたと思う。
だけどアイツが死んだあとじゃそうも行かない。
俺をおちょくってくるあいつが、いつも馬鹿にしてきたあいつがもういないんだ。
そう簡単に立ち直れない。
隊士の死は、なにより上の立場にいる副長の責任だ。
今まではそれから目をそらせてこれたのはあいつがいたからだ。
これ以上隊士が死ぬのなんて俺にはきっと耐えられない。
そんなことを考えてしまうまでに俺はなっていた
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作者名:すもも | 作成日時:2019年3月18日 1時