[HQ] 瑠璃色の春 [星海光来] (ページ3)

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　扉が開き、どやどやと人が雪崩出てくる。通行の邪魔にならないように左右に別れ、途切れたところで車内に足を踏み入れた。

　扉が閉まり、青と白の車体は動き出す。池袋のネオンが次第に遠ざかっていくのが窓から見える。

　
　車体が大きく揺れた。星海さんの胸辺りに私の頭が激突する。

「す、すみませんっ」

「いえ、大丈夫です」

　星海さんは胸をおさえながら笑った。

　指扇駅に電車が滑り込む。扉が開き、乗客に紛れてホームに降り立った。

　階段を登り切ると、私はトイレに向かった。電車に揺られて吐きそうになっていたのだ。

　車内にいる間「大丈夫スか」と、星海さんは背中をさすり続けてくれた。その優しさにまた胸がキュンと高鳴った。

　地上に出て夜風を顔に受けながら、私たちはアパートを目指した。

「まだ吐き気がするようなら休みましょうか」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

　自動販売機で買った水のペットボトルの蓋を閉め、私は言った。

　何処かでリィリィリィと虫の鳴き声がする。名前の知らない虫の鳴き声を聞きながら、私たちはポツリポツリと言葉を交わしていく。

　十五分ほど歩いたところでアパートに着いた。無言で階段を登っていく。

「やっぱり隣同士でしたね。じゃあ、おやすみなさい」

「はい。おやすみなさい」

　
　鍵を挿し込み、ドアノブをガチャリと回す。扉を開けて部屋の電気をつけた。