第二十一話 ページ23
泉鏡花side
人虎が向かって来る度に、夜叉白雪は攻撃する。
<敵の
携帯からの声に従って、夜叉白雪は相手を斬る。
私は、立っているだけ。
「何故………君みたいな女の子が」
血を吹き出し、倒れ伏す彼が私に問いかける。
その答えを、私は持ち合わせていない。
だから、事実だけを答える。
「……私の名は鏡花。あなたと同じ孤児。好きなものは兎と豆腐。嫌いなものは犬と雷。マフィアに拾われて、
驚いている彼をよそに、携帯からはただただ、夜叉に対する命令だけが流れる。
<爆弾を守れ。邪魔者は殺せ>
それに従って、夜叉は動く。
相手を、斬り刻む。
もう、立って居られない程の怪我をしているはず。
それなのに、彼は両の手を広げて、私の前に立ち塞がった。
「来ないで」
夜叉が鯉口を切る音が鳴る。
来てしまえば、夜叉に斬られる。
忠告したのに。
それでも彼は向かって来た。
夜叉が刀を上段から振り下ろす。
必殺の攻撃。
あぁ、またか。
その時、ガキィインッと、聞こえるはずのない音がした。
虎のものとなった手が、刀を受け止めていた。
夜叉が鋭い突きを放っても、その悉くが避けられ、終いには刀が弾き飛ばされた。
さっき、夜叉が斬った電車のドアから、刀は外へと放り出される。
次の瞬間、私の首には鋭い爪が突きつけられていた。
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作者名:安蒜 佑 | 作成日時:2020年3月11日 22時