【サーヴァンプ】うちの椿さんが小さな女の子を連れて来たんだが、どうすればいいだろうか ぱーと２ｯ!!【憂鬱組】

ピッカピカの!! ページ37

｢ねぇ、桜哉。ちゃんとカメラ動いてる?｣

｢ちゃんとやってますから、いちいち覗き込まないでください｣

｢椿さん目立ってます……困ります｣

入学式が執り行われる体育館で、椿はしきりに桜哉に絡みに行っていた。
｢カメラの調子どう?｣とか、｢A、一人で大丈夫かな｣など。

まるで娘の心配をする父親である。

そう言われた椿は｢だから、僕はお兄ちゃんなんだってば!!｣と大声を出すものだから、尚更目立ってしまうわけで。


そんな中、2人は椿とは反対に落ち着いていた。
というよりも、パニックになっている人を見ると逆に冷静になると言ったところか


｢こっちが心配したって仕方が無いんですから、カメラは任せて大人しく座ってください……

ってか、座れ｣

桜哉はそう言うと、椿の頭を押さえ込んで無理矢理座らせた


｢……それでは只今より、第〇回入学式を執り行います｣

進行役の教師の声と共に、辺りが静まり返る

それと同時に、椿を押さえ込んでいた桜哉の手も止まったのだった




｢この度はご入学本当におめでとうございます｣

入学式は問題なく進行されていた。
現在ステージでは、校長が入学の祝辞や新一年生へ送る言葉を述べている


―――が、そんな中で我らが憂鬱の真祖・椿が大人しくしているはずも無いわけで


｢……あはっ、ねぇねぇ桜哉。あれさぁ……ヅラかなぁ?｣

｢ぶｯ……!?｣

爆笑こそしないが、ビデオ片手の桜哉の横でちょくちょくこんな感じで絡むのでタチが悪い

思わず噴き出した桜哉の鳩尾に、オトギリの裏拳がクリーンヒットした

｢ぐふｯ……!?｣

｢2人とも煩いです……困ります｣

｢あははｯ、桜哉怒られた〜｣

｢アンタのせいでしょｯ……!?｣

静かな会場で小声で会話する憂鬱組だが、丸聞こえなわけで。
気遣ってるつもりだろうがこれでは悪目立ちだ


―――ステージの上では、とうとう校長先生が咳払いをしてしまっている


｢……会場ではお静かに願います｣

｢｢はい｣｣

桜哉と椿が声を揃えて返事をしたので、会場では和やかな笑い声が広がった


｢これではAが恥ずかしいじゃないですか…困りますよ｣

オトギリに注意され、2人は｢すみませんでした｣と頭を下げる


―――だが、そんな心配は無用のようだ


『……ふふｯ』

｢どうしてわらうの?｣

『さっきおこられたひとね、Aのかぞくなの』

隣の席の子にそう話すAは、嬉しそうに笑っていた


(｢おもしろいひとたちなんだねｯ｣)
(『うんｯ♪』)

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