63.2人の弟 ページ18
銀時side
ーーー
弟がね、いたんだ
既に夜が明けていた空を見上げているとAは涙も笑みも零さずに静かな声で、しかしハッキリとそう言った
表情で何を考えているかは読み取れなかったが…
いた、ということは多分そういうことだろう
「双子だったんだよ、私とアイツ。可愛いやつでさぁ、作ってやったおにぎりを美味ェとかいいながら私の分まで全部食べちゃって…喧嘩っ早いし頑固だし、すごく不器用だし…」
静かな声は段々と早口になる
言葉と共に涙がひとつ、またひとつと自分の着物に染みを作っていた
「でも、良い奴で、優しくて…」
銀「…」
「…大好きだったんだ」
本当に、大好きだったんだよ
瞼の奥に焼き付いた
銀「お前みたいなやつが姉貴だったんだ、きっとそいつは幸せだったろうよ」
悲しそうなAの顔を見るや否や、考えるより先に口に出ていたこの言葉
「…そうかな」
銀「あァ、俺だったらそんな姉貴が欲しかったね。物心ついた時にゃ俺はもう1人だったからな」
本心を曝け出すつもりはなかったが、何故かコイツには素直に話してしまう癖がついちまったらしい
恥ずかしいったらありゃしねェ、なんて思いつつ言ってしまったことに対して顔を赤らめていると
「銀時のくせに生意気だぞ」
なんて突拍子もない言葉が返ってくる
それと同時に俺の頭は目の前のAにガッチリホールドされていた
銀「ちょっ…テメッ…!」
有無を言わさずにワシャワシャと掻き回されて俺の頭はすっかりボサボサになる
それを見たAは満足そうに笑った
初めて見た、Aの本当の笑顔だった
銀「何しやがる!俺の髪がグシャグシャじゃねェか!」
「元からでしょ!うちの弟はそんなに天パじゃありません!」
銀「テメェ人の気にしてることを…!」
「でも」
銀時だって、もう弟みたいなもんだから
「私には、大切な弟が2人、居るんだよ」
満面の笑みを浮かべながら、俺の頭をまた撫で回したAに俺は抵抗も何もする気が起きなくなってしまった
俺は、弟だと認識されていた
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えんさん(プロフ) - ミカさん» ミカさんまたまたコメントありがとうございます!!そう言っていただけると本当に嬉しい限りです!!^^ はい!!頑張りますね!! (2019年10月19日 2時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 続編ありがとうございます!最初から読ませてもらっていますが、もう、めっちゃ好きですw更新無理せず頑張ってください!! (2019年10月17日 17時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えんさん | 作成日時:2019年10月15日 23時