43.忘れていた ページ45
十四郎とミツバさん、そして総悟が出て少し経った後、私と近藤さんは2人でお酒を飲んでいた
「はい、どうぞ近藤さん」
近「おお、ありがとな!」
近藤さんに酌をして、私もひと飲み。
外を眺めると、秋月が変わらず輝いている
私は、いずれ行くであろう江戸に思いを馳せた
「ここも、そろそろ見納めになるかもですね」
近「…そうだな、江戸…どういう所なんだろうな」
「きっと、ここと変わりませんよ。何も変わらない、みんながいれば」
近「…ああ、そうだな」
ミツバさんとは、お別れになってしまうのか
なんて少し寂しいことを考えていると近藤さんは私に
こう、言ったんだ
近「江戸では、お前達を忌み子だなんて言うヤローがいないといいな」
「……!」
近「まあ、そんな奴がいたら俺がぶっ飛ばしてやるさ!」
忌み子…
そうだ、そうだったよ
「なんで…」
近「ん?」
「…いえ」
十四郎と二人で生きてきた
近藤さん達に出会った
私達が双子だと知った時も、妾だと知った時も、彼は何も変わらずに接してくれた
だから、いつの間にか忘れていた
この世の中は、私達に優しくないということを
なんで。なんで忘れていたんだ、ずっとそうだったじゃないか
変わらない、じゃないか
「……」
このままじゃ、十四郎が────
程よく回っていた酔いが一気に覚める
こんな惨めな気持ちの私を、あの大きな月は嘲るように照らし続けていた
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えんさん(プロフ) - ミカさん» ミカさんありがとうございます!!嬉しいです!^^* 頑張ります!! (2019年9月29日 17時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - おもしろいですね!過去回想篇の続きが楽しみです!更新無理せず頑張ってください^^ (2019年9月29日 11時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
えんさん(プロフ) - 雷斗 さん» 雷斗さん…よくお分かりになりましたね…!!ありがとうございます!!頑張りますね!^^* (2019年9月23日 23時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗 - 土方のツンデレがこれから入ってきそうですね笑笑すごい面白いです!これからも頑張ってください! (2019年9月23日 23時) (レス) id: ecb0b24c21 (このIDを非表示/違反報告)
えんさん(プロフ) - 彼岸花さん» わああ!!彼岸花さんありがとうございます!!これからも頑張りますね!! (2019年9月23日 19時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えんさん | 作成日時:2019年9月18日 2時