30.ケンカ ページ32
「十四郎〜、ご飯持ってきたよ…って…またやったでしょ、ケンカ」
土「るせェ。向こうからケンカ売ってきたんだよ」
「…はぁ」
鳥のさえずり、涼しげな空、気持ちのいい風
…そこに似合わない血溜まり。そして傷だらけの十四郎がこっちを睨んでいた
どうみても晴れやかな朝の風景ではない
あれから、かなりの年月が経ち、私達はもうすぐ大人という所まで成長していた
為五郎兄さんの助けもあり、自分でも働いてその日暮らしを続けていた
ただ、十四郎には為五郎兄さんのことは話していない
「誰が手当すると思ってんのさ。心配なんだからね、やめてよね」
土「自分でやるからいい。」
そう言って盆に乗ったおにぎりを頬張り始めた十四郎
一体どうしてこんな生意気な子になってしまったのだろうか
数年前まであんなに無邪気で優しい子だったのに
「次来たら私にもケンカさせてね。十四郎が世話になってるから日頃のお礼しなくちゃ」
土「やめろ、姉貴がケンカしたら、『やる』っていう字が『殺る』に変わっちまうだろ」
「ダメ？だって私も木刀使いたいのよ」
土「んでだよ」
「次暴漢とかチンピラに襲われても困らないように！」
土「んなの俺がやる」
そう、神社やお寺などを転々とまわって暮らしていた私達。当然そういうところにはガラの悪いおじさん達が集うわけで
毎度毎度逃げてばかりで少し疲れてしまったのだ
土「姉貴にゃ無理だろ」
「いいや！私だってできる、だって十四郎と私は双子ですから！私にもその才能はあります！」
土「……好きにしろ」
十四郎は、いつしか私の事を姉貴と呼ぶようになっていた
名前で呼ぶのが嫌になってしまったのかと案じていたのだが、どうやらそうではなくただの気分らしいので内心ホッとしたという思い出も今では懐かしい
「さ！ご飯食べちゃって…ってもうないし…」
土「美味ェ」
「全部食べたな、私の分まで」
でも、こういう可愛いところは変わってなくて安心する
そのせいで全部食べられてしまったが。
また作り直さなきゃ
「それじゃあ、私は店に行ってくるからね。ケンカやめなさいよ！」
釘をさした私に、十四郎は「はいはい」と明らかに適当な返事をしてくる
それを聞いて私は自分の分のおにぎりを大慌てで作り、店へと急ぎ足で向かうのだった
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えんさん(プロフ) - ミカさん» ミカさんありがとうございます！！嬉しいです！^^* 頑張ります！！ (2019年9月29日 17時) (
レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - おもしろいですね！過去回想篇の続きが楽しみです！更新無理せず頑張ってください＾＾ (2019年9月29日 11時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)
えんさん(プロフ) - 雷斗 さん» 雷斗さん…よくお分かりになりましたね…！！ありがとうございます！！頑張りますね！^^* (2019年9月23日 23時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗 - 土方のツンデレがこれから入ってきそうですね笑笑すごい面白いです！これからも頑張ってください！ (2019年9月23日 23時) (レス) id: ecb0b24c21 (このIDを非表示/違反報告)
えんさん(プロフ) - 彼岸花さん» わああ！！彼岸花さんありがとうございます！！これからも頑張りますね！！ (2019年9月23日 19時) (レス) id: cfaad42937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えんさん | 作成日時：2019年9月18日 2時
