檸檬が十九 ページ24
───Your side───
「───よ、娘、早く起きよ」
『ぅ、ん…』
誰かの声に起こされる。
之の声、聞いた事ある気が…
目を開けると、目の前に赤髪の着物姿の女性が座っていた。
姐さんかーい。
ん?身体動かせないんだけど。
椅子に縛られてる?
「やっと起きたか…ぐっすり寝ておったからたたっ斬ってやろうかと思ったわ」
ふぅ、と溜息を着いてそう云う姐さんの手には刀が握られていた。
…もう一寸起きるの遅かったら微塵切りにされてた気がする。
ぶるぶると震え乍ら姐さんを見ていると、静かな目をして口を開いた。
「のう、娘。名は何と云う?」
『高見A、です』
「A、か…そなたは間違いなく此処に居るべきでない、陽に咲く花じゃ
然しな、鴎外殿に頼まれた以上は断れぬ
…すまぬな」
其の言葉の意味を理解する前に、鮮血が舞った。
『…ぁ、え?』
姐さんの刀が太腿を貫いていた。
『ぎッ、ぁああぁあ!!!!』
一拍置いて激痛が走る。
ゆっくり刀が抜け、傷が治る。
と、息を着く間もなく続けて切られる。
又治る。
そんな事を繰り返して何れ程経っただろう。
悲鳴を上げる事にも疲れ、痛みに耐えるように身を縮めていると、扉が開いて男が一人現れた。
「尾崎幹部、任務の時間です」
「やっとかえ…後は任せたぞ」
「御意」
男が返事をすると同時に、再び扉が開いて何かを乗せた台と共に男が数人入ってきた。
台に乗っていたのは────
『拷問、器具…?』
さあ、と血の気が引く。
無理だ、之以上は耐えられない。
『や、だ…嫌だ、もう嫌ぁ!もう死にたくない!!』
必死で逃げようとするが、無情にも縄から手が抜ける事はなく、男達が近寄ってくる。
『嫌ッ助けて、助けてェ!!』
何れだけ泣き叫んでも、姐さんが部屋を出る迄に振り返る事は無かった。
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しぐれ(プロフ) - うああ御免なさいるあとか言う訳分かんない昔の自分のコメなんか忘れちゃってくださいごめんなさい (2022年12月7日 2時) (レス) id: 31b7e69329 (このIDを非表示/違反報告)
るあ - 私は何故今までこんな神作品を知らなかったんだ、?お詫び(なんのお詫びだよ)と言ってはなんですが夢主ちゃんのイラストを描かせて頂いても、?(何言ってんの自分下手ダロ) (2022年10月2日 12時) (レス) @page35 id: 2b4b804d29 (このIDを非表示/違反報告)
NemTo(プロフ) - 面白いです!!!更新まってます!!!!中也さんスキィ (2020年5月12日 21時) (レス) id: 356eb9665d (このIDを非表示/違反報告)
アルパカ - 中也あああああ!めっちゃ好きです!次も楽しみです(^^♪ (2019年12月21日 20時) (レス) id: b5778c1530 (このIDを非表示/違反報告)
こーんすーぷ(プロフ) - 梶井さんが好きな岩野泡鳴さん» こんにちは紙ですwコメントよく下さって嬉しいです!これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年8月4日 11時) (レス) id: 97a2b13a7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こーんすーぷ | 作成日時:2019年5月6日 22時