シリウス・ブラックを幸せにしたい転生者IV

2 ページ36

明日初めて不死鳥の騎士団のミーティングがある。名目上は顔合わせ。場所はホグワーツ。夏季休暇中なので生徒も教員もおらず、都合が良かった。しかし、新学期が始まればそうもいかないため、これから拠点となる場所や連絡方法などが話し合われるだろう。そして、そのミーティングは午後から行われるため、午前中に悪戯仕掛人とリリーを招いて一緒に向かうことになっている。

みんなに渡した手帳だが、当初は自分の記憶を消す予定だったので私の分は作っていないし、作れば後から反映されるというのもあの時ついた嘘だった。当然みんなにそれを話すと、全員一致で私には手帳を持たせないことが決まってしまった。シリウスと結婚するんだし、別にナナが持っている必要はない、との判断だとみんなは言うが、たぶん実際は私が単独で行動をするのを恐れてのことだろう。みんなからの信用は完全に失ってしまったようだった。

だから、この５日間、みんなの情報はシリウスから伝えられるもののみだ。つまり、蚊帳の外。シリウスは１日に３回は日記帳を開いているが、私には見ることができない。いまさらながら、知らない、教えてもらえないことはこんなにも不安になることだと知った。今までは知識としてみんなのことを一方的に知っていた。だからこんな気持ちになったのは初めてだった。ようやく、ジェームズの言っていた“心配させてもらえない”ことの恐怖を体感した。リリーが怯えたのも、ようやく理解した。

頭上からすぅ、すぅ、と規則正しい寝息が聞こえる。シリウスは眠ってしまったようだ。でも、ようやく理解した恐怖のせいで全く寝付けない。頭を冷やすために水でも飲もうと考え、起こさないようにゆっくりとシリウスの腕から静かに抜け出した。

寝室は２階にあり、キッチンは１階にある。短い廊下を通り、暗闇の中階段を下りる。といってもすっかり暗闇に慣れたので階段は見えている。水を飲んだらすぐに寝室に戻る予定だし、明かりをつける必要はないと思った。リビングは吹き抜けになっていて解放感あふれている。昨日と今日で仕上げたリビングには、革製の３人掛けソファが置かれていて、テレビも置いた。テレビはシリウスが欲しがったのだ。家には電気が通っているため、マグルの家と変わらない。明かりもスイッチ一つで着く。それらを通り抜けてキッチンに向かう。アイランドキッチンになっていて、カウンター席が付いている。

3→←Our New House

ラッキーアイテム

マールヴォロ・ゴーントの指輪

今日の呪文学

ルーモス（光よ）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す