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リリーはありがとう、とほほ笑んだ。その瞳からはもう涙は流れていない。
「セブルスが、死喰い人になるのを止めたかった」
「…え、?」
「本の中では、セブルスは仲違いしてしまったリリーの気を引こうと空回りして死喰い人になる。それを止めるために、仲違いしないように私は動いた。でも、1週間前、セブルスは死喰い人になる、と私に言った」
リリーは困惑したように声を上げた。セブが、死喰い人に、?と。しまった、と思った。でも口にしてしまったことを撤回なんてできなくて。
「待って、リリー、違うの。あぁ、セブルスごめんなさい…」
どうしたらいいかわからなくなって頭が回らない。目を閉じて、耳をふさぐ。セブルスの覚悟が、。暖かい手が私の手をつかむ。それはリリーの柔らかくてふわふわな手じゃなくて、骨ばっていてごつごつとした男の手。シリウスの手。ゆっくりと耳から外されて、シリウスの声が耳に届く。
「大丈夫。一から、話して」
「…本の中で、セブルスはリリーを守るためにスパイをすることになる。でも、スパイがばれてセブルスは死ぬ。だから、セブルスが死喰い人になるのを止めたかった。正確には、スパイをするのを、止めたかった」
「…セブ…。それを、止められなかったということは、…セブはもう死喰い人になって、貴方にスパイを申し出たのね…?」
私はこくりと頷いた。でも、と話を続ける。
「…正直、都合が良かった。セブルスが死喰い人側に居てくれた方が、情報も手に入るし情報操作もしやすい。それに、もう一人死喰い人になってしまう人を止めたかった。その人がやる仕事を、セブルスに肩代わりさせたかったの」
セブルスに危険が及ぶのはわかっていたけれど、と私はリリーから目をそらす。しかし、リリーはいいのよ、と言って続きを促した。
「…私の大切な人の中で、最初に死ぬのはレギュラスだった。本の中で、レギュラスは死喰い人になるけれど、ヴォルデモートを裏切った。彼は自身の命と引き換えに、分霊箱の一つであるサラザール・スリザリンのロケットを手に入れる。…本の中で、レギュラスがなぜ死喰い人になることにしたのかはわからない。でも、私、シリウスに認めてほしくて死喰い人になったんだろうって思ったの」
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アネモネ(プロフ) - 樑さん» コメントありがとうございます!大変恐縮です!できるだけ高頻度で更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2023年1月25日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
樑(プロフ) - こんなにどっぷりハマったのは初めてです!更新楽しみにしています! (2023年1月24日 14時) (レス) @page32 id: 50d680b84b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - なのこ5546さん» コメントありがとうございます!こちらこそこんな長い話を呼んでくださりありがとうございます!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします (2023年1月23日 21時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 他にはない設定でとても面白かったです!!一気に読んじゃいました^^更新は大変だと思いますが頑張って下さい、応援しています! (2023年1月23日 11時) (レス) @page23 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ありがとうございます (2023年1月20日 18時) (レス) id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アネモネ | 作成日時:2023年1月12日 6時