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「愛してる」
「っ…」


この顔を誰にも見られていないのは、幸運なことだった。ひどい顔をしているのだろう。いってはいけない言葉を彼にぶつけたのに、いまだに愛しているだって?本当に救いようのない馬鹿だ。私の思い通りに動いてくれない。言うことも聞いてくれない。むかつく。嬉しいと思っている自分がむかつくのだ。

ダンブルドアが空き部屋を快く貸してくれた。ローテーブルを囲むように設置されているソファ。私はシリウスに後ろから抱きしめられる形で一人がけのソファに座らされている。杖はジェームズに取られたままだ。


「君の遠い過去の話は聞いてるよ」


ジェームズは私の目をまっすぐと見てそう言った。その話はシリウスにしか言っていないはずだ。しかし、ジェームズはレオから聞いたんだ、と私の考えていたことを否定した。リリー、リーマス、ピーターは何のことかさっぱりのようだ。


「…レオは、あり得ない」
「そう思うだろうね。だって、君は1週間前の最期の授業の時、彼から記憶を消したんだから」


さっき僕たちにやろうとしたように、とジェームズは付け足した。

そう、1週間前、ちょうどセブルスと話した次の日だった。もう彼から学べることは学んだし、これ以上協力させることもなかった。だから、彼の中にある、私の前世の記憶を消したのだ。

忘却魔法は確かに発動したはずだ。その証拠に、敗れぬ誓いを立てたときに付けた印が消えたのだ。あの時レオと立てた誓いは、私が死亡するまで、若しく記憶を消すまで他言しないこと、だったのだ。彼の記憶を消したと同時にあの時の誓いは無効となった。


「さすが闇払いだよね。こうなることを予想していて、話すときに不自然にならない程度に記憶を取り出しておいていたんだ」


レオの読み通り、Aは彼から記憶を消した。そして、敗れぬ誓いは、記憶を残したまま失効した。その後、その時の記憶をジェームズは見せてもらったのだという。

君の敗因はただ一つだよ、とジェームズが人差し指を立てて私に突き出す。


「シリウスに惚れられたこと。残念だったね。君の負けは5年前に決まってたんだよ」


5年前。ピーターと勉強会を始め、リーマスと秘密を共有し、ジェームズとシリウスと友人になった。そこからもう、間違いだった、と。わかっている。だから私はその間違いを取り戻そうと記憶を消そうとしたんじゃないか。

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設定タグ:ハリーポッター , シリウス・ブラック , 救済   
作品ジャンル:恋愛
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アネモネ(プロフ) - 樑さん» コメントありがとうございます!大変恐縮です!できるだけ高頻度で更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2023年1月25日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こんなにどっぷりハマったのは初めてです!更新楽しみにしています! (2023年1月24日 14時) (レス) @page32 id: 50d680b84b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - なのこ5546さん» コメントありがとうございます!こちらこそこんな長い話を呼んでくださりありがとうございます!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします (2023年1月23日 21時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 他にはない設定でとても面白かったです!!一気に読んじゃいました^^更新は大変だと思いますが頑張って下さい、応援しています! (2023年1月23日 11時) (レス) @page23 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ありがとうございます (2023年1月20日 18時) (レス) id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アネモネ | 作成日時:2023年1月12日 6時

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