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当然、それだけの機能ではない。私はポケットに突っ込んでいた適当なリップをジェームズに渡し、“パピルスオグド”と唱えるように指示した。すると、リップは紙のようにペラペラになる。それを「L」のページに貼ると、リリー側でもそのリップが現れる。それを手に取り、“フィニート”と唱えればリップは元通り。
つまり、メッセージだけでなくものもやり取りすることができるのだ。2年前、シリウスの誕生日に上げた検知不可能拡大魔法がかけられたポーチをジェームズがうらやましがっていたので、改良版としてこの手帳を作ったのだ。
「前に、ポーチを羨ましがってたから。その代わり」
インデックスの付いていない白紙のページにも物を収納することができるため、検知不可能拡大魔法の掛かったポーチと同じくらいの働きはしてくれるはずだ。ただの手帳だから持ち運びやすいし、携帯を使わない魔法族らしい連絡手段であると思うのだけれど。
「…Aのページは?」
「ああ、実は自分の分を作るのが間に合わなくてね…。これからシリウスと同棲することになるだろうし、しばらくはシリウス経由で連絡して」
私の分ができたら自動的にページが増えるようにしてあるから安心して、と私は5人に伝えた。5人は同棲かあ、なんて感慨深そうに頷いている。
「じゃあ、そろそろ帰らないとだね」
私はそう言って、ホグワーツを見上げる。よほどのことがない限り、ここに来ることは無いだろう。何となく泣きそうになったのでごまかすように前を向いた。7年間幸せだったと胸を張って言える。
最初は、前世で幸せになった分自分の幸せなんて要らないからシリウスの幸せを、なんて思っていたけれど。気が付いたら私はまた幸せになっていた。全く、私は彼らに与えていると思っていたけれどもらってばかりだった。
私が歩き出したので、それに続くようにみんなもホグワーツを背に大きな橋を渡る。その橋を半分渡ったところで私はみんなを振り返った。
「みんな、大好きだよ」
私のことをきょとんと見つめて、そしてすぐにみんな笑顔になる。俺も、僕も、私も、なんて声をそろえて返してくれるものだから、もうさみしさも無くなった。最後にもう一度だけホグワーツを見上げて、そして素早く杖を取り出し、5人に向けた。
「オブリビエイト」
私の記憶よ、みんなから、消えてなくなれ。
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アネモネ(プロフ) - 樑さん» コメントありがとうございます!大変恐縮です!できるだけ高頻度で更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2023年1月25日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
樑(プロフ) - こんなにどっぷりハマったのは初めてです!更新楽しみにしています! (2023年1月24日 14時) (レス) @page32 id: 50d680b84b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - なのこ5546さん» コメントありがとうございます!こちらこそこんな長い話を呼んでくださりありがとうございます!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします (2023年1月23日 21時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 他にはない設定でとても面白かったです!!一気に読んじゃいました^^更新は大変だと思いますが頑張って下さい、応援しています! (2023年1月23日 11時) (レス) @page23 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ありがとうございます (2023年1月20日 18時) (レス) id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アネモネ | 作成日時:2023年1月12日 6時