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「わかったわ」
彼が危険を冒すことに、不安はある。だってばれたら死ぬのだ。そもそも、死喰い人になったと分かればリリーは彼をより軽蔑するだろうし、ジェームズが殺す気で襲ってくるのだ。それでも、彼はスパイをするというのなら私には止めてあげる義理はない。シリウスが幸せになれれば、それでいいのだ。それで、いい。
「それと、これは口止めされていることだが」
私は彼の言葉を聞いて必要の部屋を飛び出した。ああ、セブルスの話を最後まで聞かずに出てきてしまった。でも、本当なのか確かめたかった。
レギュラス。彼を探し回るが一向に見つからない。そもそも、セブルスは口止めされている、と言っていた。本来私が知るはずもなかった情報を、彼は教えてくれたのだ。それがすべてじゃないか。きっとレギュラス本人に聞いたところで素直に質問に答えてくれるわけがない。
…シリウス。彼の幸せを考えろ。彼の幸せに、セブルスのスパイは影響するのか。レギュラスの、その秘密は影響するのか。そもそも、シリウスの幸せって何。どうして私はシリウスと結婚することになったんだ。彼を幸せにしたいだけなのに。彼を幸せにしたいのなら、危険を冒してヴォルデモートを倒そうとしている私と結婚しないほうがいい。そもそも、彼が私を好きになってしまったことで、ヴォルデモートを倒そうとする私とともに命を賭けるなんてことになったのだ。私の馬鹿野郎、何自分が幸せになろうとしていたんだ。
気が付けば私は禁じられた森に来ていた。ほとんど無意識で考え事をしながら風を切って走っていたら、ここにいた。
「こんなところで何してる?」
ああ、彼はすぐに私を見つけてしまうのだ。私が一人でいると、必ず。
「…なんか、ぼうっとしてたらこんなところに…。そうだ!私と最初で最後のお散歩しようよ!」
私はシリウスの腕を引いて禁じられた森の奥へと進む。まだ日が照っていて明るい。それなのに森の中は木々で日光がさえぎられて暗い。でも、吸血鬼にとっては最適な環境だ。私は吸血鬼の魔法で大きな狐に変身をする。夜行性の動物なら何でもなれるのだ。シリウスと走るのなら同じイヌ科がいいと思った。私が狐の姿でシリウスの足元をぐるぐると回ると、シリウスは仕方ない、とため息をついて黒犬になった。それを確認した私は嫌な思考を振り払うように森を駆け抜け、危険な場所に行こうとするたびに首根っこを咥えられて戻されて、を繰り返した。
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アネモネ(プロフ) - 樑さん» コメントありがとうございます!大変恐縮です!できるだけ高頻度で更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2023年1月25日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
樑(プロフ) - こんなにどっぷりハマったのは初めてです!更新楽しみにしています! (2023年1月24日 14時) (レス) @page32 id: 50d680b84b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - なのこ5546さん» コメントありがとうございます!こちらこそこんな長い話を呼んでくださりありがとうございます!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします (2023年1月23日 21時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 他にはない設定でとても面白かったです!!一気に読んじゃいました^^更新は大変だと思いますが頑張って下さい、応援しています! (2023年1月23日 11時) (レス) @page23 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ありがとうございます (2023年1月20日 18時) (レス) id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アネモネ | 作成日時:2023年1月12日 6時