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ハリーを目の前にしたボガードはディメンターに変化した。その後リーマスはハリーに対してヴォルデモートに変化すると思った、と言ったが、ハリーはとっさにディメンターを思い浮かべたと言っていた。恐怖するものなら、なんでもいいのだ。みんなにとって刺激の少なく、でも確かに私がシリウスの死と同じくらい恐怖しているもの。
「私、やります」
立候補すれば、レオの顔が少しこわばる。私の記憶を知っている彼はシリウスの死の場面こそ知らないが、死ぬことはわかっている。これ以上見たくない、と開心術を跳ね返すくらい思い出したくない記憶なのだ、と。
「…ボガードに対して使用する魔法は知ってるかい」
「はい。"リディクラス(ばかばかしい)"です」
「よろしい。…じゃあ杖を構えて」
大きな衣装棚からボガードが現れる。目がないのにじっと見つめられている感覚がする。私は杖をぎゅっと握りしめて見つめ返した。ふ、とボガードが笑った気がする。
その瞬間、ぐにゃ、とボガードがいる空間がゆがみ、そこには薄汚れた羊皮紙が浮かんだ。上に大きく"HAVE YOU SEEN THIS WIZARD?(この魔法使いを見かけていませんか?)"と書かれていて、その下には動く写真。やせ細り、濃い隈を携えたシリウスは今の見る影もない。写真に写る彼は身を乗り出し必死に何かを叫び訴えている。私の恐怖はシリウスの不幸そのものだ。
「…リディクラス」
私がそう言えば手配書はくしゃくしゃと折りたたまれていき、紙飛行機の形になって卿室内を一周した。教室内はわ、と雰囲気が明るくなり、面白いとわかった生徒たちは一列にならんでボガードと対峙した。
私の後ろにいたリリーはさっそくボガートに対峙する。私が変身させた紙飛行機はリリーの頭上をくるくると飛び回り、3周したところでぐにゃりとゆがんだ。
現れたのはリーマスの姿。リリーは傷だらけのリーマスに声をかけるが、リーマスは大丈夫、と笑って足早にその場を去る。その次にはジェームズがへらへらと笑って大丈夫さ、とリリーに言っている。そして最後に私が。リリーを抱きしめて私は大丈夫よ、と彼女をあやしていた。これが彼女の恐怖なのだろうか。リリーがリディクラス、と唱えると、途端に私の姿がオウムに変わる。そしてペラペラと意味のない単語の羅列をひたすら話していた。
リリーの後ろに並んでいた子は犬が怖いらしく、オウムはすぐに犬へと変身した。クモの大群が怖かったり、母親が怖かったりとみんなの恐怖は様々だ。
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アネモネ(プロフ) - 樑さん» コメントありがとうございます!大変恐縮です!できるだけ高頻度で更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2023年1月25日 9時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
樑(プロフ) - こんなにどっぷりハマったのは初めてです!更新楽しみにしています! (2023年1月24日 14時) (レス) @page32 id: 50d680b84b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - なのこ5546さん» コメントありがとうございます!こちらこそこんな長い話を呼んでくださりありがとうございます!更新頑張りますので、これからもよろしくお願いします (2023年1月23日 21時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 他にはない設定でとても面白かったです!!一気に読んじゃいました^^更新は大変だと思いますが頑張って下さい、応援しています! (2023年1月23日 11時) (レス) @page23 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ありがとうございます (2023年1月20日 18時) (レス) id: fcb0ec653e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アネモネ | 作成日時:2023年1月12日 6時