【HQ】狂 愛 物 語【短編集】

宮侑【束縛型ヤンデレ】 ページ40

「A。」


「あ、侑〜！」




下校時間。


今日はバレー部の終了時間と吹奏楽部の終了時間がたまたま被った為、久々にAと帰ろうと思い、吹奏楽部が使用している音楽室にひょこっと顔を出した。


予想通りAはバレー部の応援などに使う楽器をケースにしまっていた。


他の子はどうしたん、と聞くといつもAと帰る女子数人が今日は彼氏さんと帰りな！と、気を使って先に帰ったらしい。


外は夕暮れを通り越して真っ暗。Aはケースを元の位置に戻すと、音楽室の電気をパチン、と消して脱いでいた上靴を履き、楽譜を持って俺の待っている位置まで来た。



「A、今日は誰と何をどれぐらい話したん？」


「えっと、吹奏楽部の友達の花ちゃんと、次の曲について8分くらいと、数学の先生と3分くらい。あ、あとクラスメイトの仲いい女の子3人と15分くらい。」



2人で廊下を歩いている最中俺はそう問いかけた。


俺はAが誰と何をどれぐらい話したのか毎日聞いとる。それと、携帯の中身チェックもしとるな。そうしとかんと、不安だから。



「ん、で男子とは話してへんよな？」


「あー、えーとねー‥‥‥。」


「‥‥‥誰かと話したん？」



俺は背をかがめて、言葉につまるAの目をじっと見つめ、低い声でそう言った。


女子と話すのは多少許しとるけど、男子と話すのは絶対に許さへん。



「古文の先生と2分。」


「まぁそれくらいならええよ。古文の先生ってジジイやし。」


「‥‥‥あと治くんと6分。」


「‥‥‥は？」



喉の奥から、自分とは思えないようなドスの効いた声が出た。


サムと話したってどういうことなん、何を話したん？と質問攻めをするとAは、別に変なこと話してないから。とだけ言った。

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