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キヨから「頑張れ」だなんて言われたバレンタインから1ヶ月
その日は結局Aを前にすると緊張してしまって告白は出来なかった
その次の日も、また次の日も。そんな事を続けていたらあっという間に1ヶ月が過ぎてしまった
そして明日はホワイトデー。今はショッピングモールに来てお返しを何にするか考えているところだ
様々なお菓子が陳列されている棚を見ると『お返しのお菓子と意味』だなんて紙が貼ってあった
1番上に書かれていた、【キャンディはあなたが好きです】という文字。一目見て直ぐにAに渡すお菓子が決まった
・
放課後、帰ろうとするAの腕を掴む
「A、この後時間ある?」
「わっ、牛沢くん…うん、あるよ?」
自席へ戻って2人並んで座ってくだらない話しをしてみんなが帰るのを待つ
ぽつりぽつりといなくなっていって、遂に2人きりになれた
ドキドキとうるさい心臓を沈めようとふぅ、と深呼吸をする
「これ、バレンタインのお返し」
「わぁ可愛い…ありがとう!」
渡したのは可愛らしいピンクの包装が施されたキャンディ。意味はもちろん……そういうこと。
受け取って笑顔なAに改めて向かい直す
「A……」
何かを察したように固まるA
「遅くなってごめん……A、好きだ。俺と付き合ってください」
思い切って言った言葉。目が合ってる時間がほんの数秒なはずなのに何だか長く感じる
バクバクなる自分の心臓がうるさい
「よ、よろしくお願いしますっ!!」
勢いよく頭を下げるAの顔はあのバレンタインの日みたいに真っ赤で思わず愛おしさが込み上げた
ギュッとAを抱きしめると同時に教室の扉が勢いよく開く
「「「うっしーおめでとう!」」」
「A〜良かったねぇー!!!」
「お前ら!」「あーちゃんまで!」
どうやらみんな聞いていたらしい…てかなんで知ってんだよこいつら……!!
「2人ともお幸せに!」だなんて言われて「ありがとうみんな」と微笑むAを見て幸せな気持ちになった
・
「牛沢くんおまたせ!」
「お、やっぱ似合ってんじゃん」
付き合って初めてのデート。Aの耳にはクリスマスに渡したイヤリングが揺れていた
「えへへ。……牛沢くん」
「んー?」
照れた顔のAの目をしっかりと見つめる
「これからもよろしくね」
「おう」
Aの頭に着いた桜の花びらを取りながら優しく頭を撫でた
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作者名:こっぺ | 作成日時:2022年10月4日 14時