29 ページ31
走った
狭い屋敷の中を絡まる思いを振り切るように全力で走って何とか自分の部屋にたどり着いた
ふすまを開けると糸が切れたようにペタンと畳に座り込んでしまった
何故いつもこうなるのだろうか
鬼を殺さず階級が上がらなければ多くの隊員から罵まれ
鬼を殺そうとすれば大好きな人から嫌われる
じゃあ私はどうしたら良いの？
どうすれば皆んなは私を嫌わなくなるの？
鬼を殺せば、鬼のことを傷つければ状況は良くなると思っていた
姉様だって鬼殺隊の人だって私のことを見直してくれるのではないかって
そんな甘いことを考えていた
なんでいつも私ばっかり
ねえ、どうしてなの？
何故───────
.
ああ
でも考えてみれば至極真っ当なことではないか
なんの実績もないなんか私がいきなり何かをしても味方なんていない
こんな時に手を差し伸べてくれる人なんている筈がない
いつもいつも自分にとって都合の悪い時に逃げてしまうのは私の悪い癖だ
もし母様が生きてたら励ましてくれるかな
もし父様が生きてたら頭を撫でてくれるかな
もしカナエ姉様が生きてたら抱きしめてくれるかな
もし
もし鬼がいなかったら
しのぶ姉様は私に笑いかけてくれるのかな
鬼が憎い
あんな物なんて全部苦しんでのたうち回ってこの世に存在することを後悔しながら死ねばいいのに
鬼がいるから悪いのだ
鬼が私の幸せを壊した
鬼のせいで私は今苦しんでいるのだ
だから
だから私は鬼を殺す
強くなって皆んなのことを、炭治郎さんのことを見返してみせる
そして
いつか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
re-to(プロフ) - 気づいたら目から涙が流れてました。誰も幸せにならない話は久しぶりに読んだので色んな人の気持ちを考えるとすごく辛くなりました。とてもいい話を書いてくださりありがとうございます。 (2022年6月10日 21時) (
レス) @page36 id: 15c8ca49bf (このIDを非表示/違反報告)
天霧(プロフ) - 妹ちゃん…。なんていうか、鬱になる終わり方でしたね。姉に認められたい、皆に認められたいだけどその期待に答えられなかった。辛いですよね…。今回はしのぶちゃんが凄い嫌な感じって言ったらいいのかななんか凄くて私なら恨みそうです。私なら鬼になりたいって思う (2021年9月27日 23時) (レス) @page36 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
まチョコ - しのぶさん…本当はこんなことしたくなかったんだろうな…。本当は妹として…認めたかったんだろうな。悲しい。頑張ってください。 (2021年9月27日 21時) (レス) @page34 id: b9e98ac7b6 (このIDを非表示/違反報告)
mitunari1985(プロフ) - す、凄い鬱になる…のに何回も読んでしまうのは何故なんだ…この世界線のしのぶさんカナエさんにガチギレされるのでは？自殺に追い込んでる訳だし、皆んなと結託して攻撃してるしなぁ (2021年5月25日 0時) (レス) id: a4d6628367 (このIDを非表示/違反報告)
パッショーネ・バルサン - 貴様っ(ジョジョを)見ているなっ！ (2020年6月25日 20時) (レス) id: e3cb6683f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小夜子 | 作成日時：2020年1月27日 17時
