当然のこと ページ27
じらい「はー終わったー……。」
4月に引っ越したことで職場も異動したじらいちゃんは、新しい日常に慣れつつあった。いつものように仕事を終え、いつものように駅へ向かい、いつものように改札を通る。
じらい「……あ、Aちゃんだ。」
じらいちゃんの視線の先には学校帰りと思われるAの姿が。
じらい「おーい、Aさーん。」
じらいちゃんが声を掛けるもAの耳には届かなかったようでAはどんどん階段を上がっていく。
じらい「流石に聞こえなかったか。……あっ、」
Aの数段上を歩いていた女性が傘を取り落とした。
それに気付いたAがさらりと傘を拾い、流れるように女性に手渡した。
二言、三言交わすとAが会釈し階段を上がっていった。
じらい「……え、イケメンか？」
じらいちゃんが階段を上がり切ると、Aはイヤホンを耳に挿し電車を待っていた。
じらい「Aちゃんっ、一緒に帰ろ。」
「っ、あぁ、今帰りですか？」
Aが思っていたよりも驚いて少し申し訳なくなる。じらいちゃんが隣に立つと、Aはイヤホンを外しじらいちゃんの言葉に耳を傾けた。
じらい「そういえば、さっきの見てたんだけどさ。」
Aは頭上にクエスチョンマークを浮かべた。
「さっきの？って？何のこと？」
じらい「え？Aちゃんが女の人の傘拾うとこ。」
「あぁ。そうなんですか？声かけてくれたらよかったのに。」
じらい「かけたんだけどAちゃん聞こえてなかったみたいだし。あんまりにもスマートに傘渡すもんだからちょっと惚れかけたもん。」
Aがクスクス笑った。
「大袈裟な。誰だって目の前に傘が落ちてきたら拾って渡すでしょ？」
残念ながらそうでもない。が、それは言わないでおく。
じらい「はーお腹すいた。今日のご飯なんだろね？」
「何でしょうね。今日は誰が作ってくれてるんだっけ。」
深山荘では、まだ食事担当などを特に決めていない。その日都合のいい人が作っている。いつかは決めたいと思っているのだが、今のところそれで大きな問題もない。
電車がホームに到着した。ぞろぞろと人が流れる。
じらい「っと、大丈夫？」
人の波に飲み込まれるAの腕を掴んだ。
「あ。ありがとうございます。」
じらい「この時間いつも人がいっぱいだよね。俺に掴まってな。」
Aがじらいちゃんの服の袖を掴み、にぃっと笑った。
「へへ、ありがとうございます。」
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みき - 何回も読んでます、素敵な小説ありがとうございます！これからも頑張ってくださいね、応援してます。 (2022年8月21日 17時) (
レス) id: 17c35a2d90 (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ましゅまろさん» わわっ無知晒してましたありがとうございます！直ちに修正いたしました！本当にありがとうございます！！ (2022年4月2日 19時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろ - 『お庭で』のお話で『沈丁花』という言葉が出てきたんですけどふりがなは『ちんちょうげ』です。細かくてすみません。！ (2022年4月2日 15時) (レス) @page18 id: bcf7c7e9de (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - ねぎしさん» ねぎしさん、コメントありがとうございます！なんと……！それは光栄です！ぜひ一緒に応援していきましょう！ (2021年10月20日 17時) (レス) id: a66dababca (このIDを非表示/違反報告)
ねぎし - あっ、私も雷平気ですが花火は無理っていう…夢主ちゃんと同じですね、運命かn(((面白かったです！私実はまめこさんの小説見てからBin TRollさんの動画見始めたんです！！つまり、Bin TRollさんの動画見始めたきっかけはまめこさんだったんですよ！（話のオチは…） (2021年10月17日 15時) (レス) @page37 id: 28dad0896f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ | 作成日時：2020年7月12日 12時
