おさななじみ兼こいびと。【中村悠一】

どうです？ ページ47

『どうでしょう、今日の私！』

「……かわいい」

『……えっ』

「なんだよ」

『アッいえ別に』


あのツンデレモンスターが素直に褒めてくれるとは思わなかった。びっくりした。


「じゃーとりあえず行くか」

『そうだね〜』

どこ行こうかな、と考えながら車に乗り込む。……そういえばいつもは私が送っていったりしてるから助手席に座るのって新鮮かもしれない。


『……あ、海とかどうだろ？』

「おー、いいかもな。でも寒くない？」

『あったかくしてこうぜ！』

「上着とかちゃんと持っただろうな？」

『もちました！』

「ならよし！じゃあ出発〜」

『進行〜』


そんなゆるいノリで車を走らせる。運転してるの悠一だけど。


『随分運転慣れたもんだね、悠一』

「まぁ乗り始めて結構たったし。というかなんでそんな上からなんだよ」

『えー、だって私の方がずっと運転歴長いもん』

「あー、まぁ確かに」

中身の無い会話をしつつ窓の外を眺める。


『……悠兄、悠くん、悠一、他は……あ、悠さんだっけ』

「どうしたいきなり」

『いや、今まで悠一の事なんて呼んでたかなーって思って』

小さい頃は悠兄って呼んでたんだよね。それからなんか悠くんに変化してたまに悠さんって呼んで今悠一になった……たしか。


「……あ、そういえばAってなんで東京来たの？」

『え、超今更じゃん。どしたの』

「いや、唐突に気になった。だって大学なんてそこらじゅうにあるじゃん」

『まぁそうね……恥ずかしいから内緒ってことで』

「えー？気になる」

『いつか話す、いつかね』

「じゃあそれまで待ってるわ」


それから暫く無言で悠一は車を走らせた。いや、まぁ話す話題がなかっただけなんだけど。




·



「もうすぐつくぞー、海」

『……ん、ぁ〜……、寝てた……？』

「そりゃもう、気持ち良さそうに」

『あぁ……ごめん……』

どうやら気づかぬうちに寝ていたようで。申し訳なさでいっぱいである。


「別にいいよ、それより外見てみ」

『外？』

促されて外を見ると視界に海が広がった。

『おぉ〜！綺麗だ……！』

「海とか久し振りだなぁ」

『まぁ、夏は焼けるしやだよね。私も来ないもん。水着着たくないし』

「夏に海は来たくないけどAの水着姿は見たい」

『正直か！やだよ』


あ、じゃあ家で着てくれない？とか言うのであほか、と言いながら軽く殴っておく。何か呻き声が聞こえたような気もするけど気のせいだよね！

終わり ログインすれば
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