おさななじみ兼こいびと。【中村悠一】

いらっしゃいませ。 ページ28

自宅につきそうな所でふと気付いた。
……私はいつも後ろを振り向いて駐車するわけだが、後ろに大きい二人乗ってて見えなくないか？
ドア開けて後ろ覗きながら駐車してもいいけど、今雨降ってるから濡れるだろうなぁ……頭下げてもらうか、申し訳ないけど。


『すみません、ちょっと頭下げて頂いても？後ろ見えなくて……』

安「おお、申し訳ない。これで大丈夫？」

『はい、ありがとうございます〜』

車を駐車場に停めていると、隣でぱしゃりと写真を撮る音が聞こえた。何で撮ってるんだ悠一……

『なにしてんの悠一』

中「いや、特になんでも」

『あ、そう……』

中「ついたんだし早く家入ろうぜ」

『ん、そうだね。杉さん、後ろに大きい傘入ってると思うから二人で使って、濡れるよりましだと思う』

だいぶ絵面は辛いけどましじゃないかな、多分。風邪引くよりましじゃない？濡れたとしても家で風呂に突っ込むけど……

杉「お、おっさん二人で相合い傘だと……？」

安「あ、もう一本ある」

中「もう一本は俺達が使うからな」

『はーい車から出てくださ〜い』

悠一が傘持って車を出たのでこちらに来るのを待つ。何かエスコートされてる気分だなこれ……とか思っているとドアが開く。

中「ほら、来い」

『ありがと〜』

車から出て鍵を閉め、濡れるので悠一と腕を組んで玄関に向かっていると、じっと視線を感じた。

『……な、なんでしょうか安元さん』

安「……いや、男女の幼馴染みにしては距離が近いなと思って。何か、幼馴染みというより恋人みたいな感じがする」

……すごいな、安元さん。勘が鋭いというか、なんというか。……というか、

『悠一言ってないの？この間言うっていってなかったっけ』

そう。神谷さんにバレてから、親しい人には言っておくか、という話になったのだ。

中「……すっかり忘れてた」

『じゃあ結局知ってるのは杉さんと神谷さんと今知った安元さんだけなんだ』

中「そういうことになるな〜……いやぁ、すっかり忘れてたわ」

杉「俺はいつ言うんだろうなってソワソワしてた」

安「……え、そういうことは二人付き合ってるの？まじで？」

中「まじですね、なぁA」

『そうだね、もう長いこと付き合ってるよね』

中「幼馴染みとしての方が長いからどうにも幼馴染み感は抜けないけどな」

『んまあわからなくもないね』

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