おさななじみ兼こいびと。【中村悠一】

仮眠。 ページ23

中村side


『めっちゃ眠い……』

俺の腕に捕まって、目を瞑ったまま歩くA。可愛いけどな、危ないぞ。

中「お前本当にそれで運転できるのか?……少し寝たらどうだ」

『んー……じゃあ少し寝てもいい……?ぁでも、どこで寝ればいい……?』

中「そうだな……」

何処か寝れそうな場所はあっただろうかと考えてみる。このまま車まで行くのは危なそうだしな……近場で、寝れそうな所……

中「……あ、少し人がいるところでも大丈夫か?」

『んん……?私は良いけど、悠一はいいの……?』

中「まあ大丈夫だろ」

『そう……?』

何処かのスタジオに入ってソファーを貸してもらうというのを思い付いた。廊下にあるのだと多分物凄く見られると思うしな……

そう考えて適当なスタジオにAを連れて入る。

中「すみません、少しソファー貸して頂いても良いですか?」

「あっはい、静かにして頂ければ大丈夫ですよ」

中「ありがとうございます」

ううう、と唸りながら腕にしがみついてくるAをソファーに誘導し座らせて自分も隣に座る。

中「10分くらいで良いか?」

『ん、ごめん、ありがとう……』

頭を俺の膝に乗せて眠り始めたAに着ていた上着をかけ、たまたま持っていた台本を取り出す。



台本を読み始めて少したった時、フッと台本に影が落ちた。誰だ、と前を見ると見知った人物が立っていた。そういえばこのアニメに出てたっけ、こいつ。

杉「なんで中村がここにいるんだ?」

中「仮眠中」

そう言って下を指差す。

杉「……おお、Aか。そっか、廊下だと目立つもんな」

起きないように配慮したのか、声を潜めて喋りながら隣に座る。

中「……なんで座ったんだ?」

杉「いや、折角だし送ってもらおうかなと思って」

中「お前……」

呆れていると、Aが膝の上で身動ぎをした。

杉「……なんか……えろｯたｧ!!!」

中「なかなか良い音したな」

ｽﾊﾟｺｰﾝｯ!!と台本を丸めて杉田の頭を叩く。人の恋人に何言ってんだお前は。

痛い……と頭を抑えて蹲る杉田。自業自得だな、と鼻で笑っていると足音が聞こえた。

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