set 5 メルト 【和泉三月】 ページ12
「A、お前のことが好きだ。付き合ってくれ!」
「え、えええ!…あの」
「俺の気持ちは本気だ!」
「うわぁぁ…!ち、ちか」
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ピピッピピピピッピピピピッ
『んーーー』
どこで鳴っているかわからない目覚まし時計を無造作に叩いた
カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいる
やっぱり、夢か…
半開きの目をしながら、体を起こす
そうだよね、三月くんが私に告白するなんて、あは、そんなことある訳ない、か
て、ていうかなにあの夢…!三月くんに告白されてはたまたキスされそうになってた!!
くそぉ…学校がなければ、三月くんとき、き、キスできたかもしれないのに……!!
いや、まてよ
夢の中でキスしたと仮定して、現実世界で三月くんと普通に接する事が果たしてできるか…?
うん、ここは夢が覚めたことにひとつ感謝しようっと
.
洗面所で顔を洗う
鏡には長々と伸びた私の前髪がうつっている
切ったほうがいいかな…
人と目を合わせるのがあまり得意ではないからか、前髪を伸ばす癖がついていた
もし前髪を切ってみたら、三月くんは「どうした?」とか言ってくれるかな
まてまて、私はたかがクラスメイト
三月くんはみんなから好かれてる人気者で、一方私は地味で冴えない女子
私が話しかけられるのだって、三月くんが優しいからだろうし
『もーーーーーー!』
頭をブンブンと左右に振って、両頬にバチン!と気合を入れた
こんなウジウジしてるからダメなんだ
変わりたい、こんな自分変えたい
目にかかっている前髪を睨む
切ろう、思いっきり切ってやる
洗面台のとびらからハサミを取り出す
『くっ……!』
いざ、出陣!!
私はうっとおしい前髪を切ることに成功した
.
『よし!』
「ちょっとA、なにのんびり髪なんか切ってるの!遅刻するわよ!!」
いつの間にか洗面所にいたお母さんが言った
時計を見てみると、かなりの時間が過ぎている
『や、やば!!急がないと!!!』
.
.
慌てて身支度をし、私は家を出たのだった
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作者名:ひな x他1人 | 作成日時:2018年5月1日 0時