子供>>3 ページ4
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「生活費も家賃も、ちゃんと渡します。
お風呂場と部屋の隅をお借りしたいです。……お願いします」
派手な頭が目の前で下がる。
車に凭れている男に頭を下げる少女の図は色々と誤解を招きそうだったためにやめさせて、やはり湧き出てくる何故そこまでして家に帰りたくないのかという疑問を投げかけた。
返ってくるのは困ったような笑顔と沈黙だけだったけれど、家に居候を許すのなら、境遇ぐらいは知る権利があるだろう。
「……はぁ。乗って。家まで送ってやる」
車の鍵を開けて運転席に乗り込もうとしても一向に動く気配のない彼女に、助手席に回って扉を開く。どうぞ。と仕草で伝えてみても動かなくて、また溜息をついた。
もう放って帰ろうかと思えてきた辺りで、少女は口を開いた。
「両親が、いなくて。叔父の家に引き取られて。…っ、暴力を、ふるわれてて、」
「……うん」
「それが、最近エスカレートして、もっと酷いこと、……」
だから嫌。帰らない。
こちらを睨むように見る姿は儚くて。
やっぱり重かったなぁなんて思うと同時に、だからといってうちに泊められるかと言われれば、最俺ハウスは映せなくなる場所が出来たら困るし、俺の家に居られても実況に声が入ったりするのが何よりも困る。
メンバーにも反対されるだろうし、法律的にも危ない気がする。
けど、
「お願いします。なんでもします」
こんなに頭を下げられて、揺れないほど冷たい心の持ち主ではない。道民は心が暖かいのだ。
「……なんで俺?」
「…絶対、いい人だって思ったから」
「え〜…何を基準に?こう言うとあれだけど、何でもしますって、俺に奉仕する代わりに住まわせてやる。みたいな、それこそ欲処理とか、頼まれたらどうするつもりだった?」
「そんな事言わないと確信してた。そうやって相手の弱みに漬け込むような人なら、この間私が車に乗った時点で襲ってる」
反応を見ている限りではネット上のキヨ。という存在を知っているわけではなさそうだし、きっと頼めば、それこそ家事くらいならなんだってしてくれるんだろう。
もうこの時点で、泊めてやってもいいかなと思い始めていた。
「……期間は?」
「え、」
「だから、無期限で泊めれるほど家に何も無いから。長く居るんだったら必要なもん揃えねえとだろ」
「っありがとう、ございます」
全部全部、気まぐれだ。
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偉(プロフ) - 千夏さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年9月30日 1時) (レス) id: 9637783203 (このIDを非表示/違反報告)
千夏 - キヨくん大好きなので、続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年9月28日 22時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:偉 | 作成日時:2019年9月26日 3時