霞柱の許嫁が蝶屋敷の食事係の私だった件。【時透無一郎】

参拾肆ノ話 #想い ページ39

無一郎side



…美月は、1週間経っても熱が続き目も覚まさなかった。


長い睫毛は伏せているままだ。






胡｢…これは………


…明日までに目を覚まさなければ


危ない状況です。｣



くそ…どうして、こんなことに…ッ！


俺は拳を握り唇を噛むことしか出来ない。





胡｢…美月は体が弱かった上に

高熱の中、無理に呼吸を使って、失血が重なったのが体に悪影響を及ぼしたようですね………。



…しかしそれは仕方のなかったこと………。｣





胡蝶さんですら悔しそうに下を向くだけなのに…


僕にできることは何一つない。






無｢…お願い。美月、目を覚ましてッ…！



僕、君がいないと…もう駄目だ………





…君を、愛してしまったから………。｣






………本当に大切な人は、



こうなってからしか気がつくことが出来ないものなのかもしれない。


…僕は、遅すぎた。




漠然とずっと隣にいる気がしていたから、






美月がどれだけ大切な人なのか





気づくのが遅すぎた。







このまま眠りつづけて、


ある日死んでしまっていたら…






きっと僕は、壊れてしまう。








…僕が思っていた以上に、


僕は美月を愛していた。





美月との日々が彩やかだとしたら、



まだ君と出会っていなかった日々はモノクロだ。







胡｢…今は、手を握って呼んでいてあげていてください。

…今夜の見回りは私が代わりますから…｣




無｢…胡蝶さん…ありがとうございます……。｣


僕は美月の手を強く握り、




何度も名前を呼んで、



_____ただ意味もなく涙を流していた。

参拾伍ノ話→←参拾参ノ話 #呼び声

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す