霞柱の許嫁が蝶屋敷の食事係の私だった件。【時透無一郎】

参拾弐ノ話 ページ36

無一郎side


…くそ……！


俺が早く帰らなかったばかりに…！



俺が部屋に入ると、


日輪刀を持った美月が、身体中から血を流していた。



その傍には…鬼。



美月は、今にも倒れそうにぐらつきながら立っている。





畳の床には、


美月のものと思われる血液が大量に垂れており、着物もバラバラに裂けていた。




…あんな小さな体じゃもたない…！



俺はとっさに日輪刀を構え、

鬼に対する怒りを全て込め…




無｢…霞の呼吸…肆ノ型ッ！

移流斬り…！｣




鬼の頸を容易く斬った。




無｢…俺の…大切な人を傷つけたやつは許さない…！｣



消えかかる鬼の体を怒りを込めてバラバラになるまで斬る。




それと同時に、ドサリ…と美月が倒れこんだ。




ああ…


熱があり元から弱かった体で、



1人で鬼と戦ったんだ。




彼女は長らく呼吸なんてものは使ってこなかっただろうに…






無｢…美月っ！｣




俺は即座に倒れ込んだ美月を抱き起こす。


身体中の傷が痛ましい。



俺は再び彼女を抱き抱え、


蝶屋敷へと走った。









無｢…胡蝶さん……！｣



胡｢…？時透くん？どうかしました…
…………美月?!｣


振り向いた胡蝶さんは一瞬で顔面蒼白に。




無｢…僕が柱合会議から帰ってきたら…

美月が鬼と戦っていて…！


…それで、こんな…！｣




胡｢…分かりました。

こちらへ運んでください…


…アオイ！すぐに輸血の準備を…！｣





…そうか、美月も


僕が運ばれて来た時こんな気持ちだったのか…？









…僕は美月をベッドに横たわらせると、


直立して固まっているだけだった。

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