番外編 .太宰と少女2 ページ21
空っぽなものが満たされて何かを思い出したように少女は嬉しそうに笑った
笑いながら泣いていた
少女の掌が太宰の頬へ触れる
「風花…?」
太宰と少女が重なった、ちゅ、と小さなリップ音がなり少女は呟いていた
『愛しています。妹のこと…よろしくお願いしますね?』
_少女は細かな粒子となり輝きながら消えていった
太宰が呆然と夜空を見上げた
いつのまにか月がはっきりと見える
美しい月、あの日の様な月だった
あの日、太宰が思いを伝えた直後、少女はトラックに引かれて死んだ
幹部補佐の呆気ない死だった
その数週間後、友人だった織田作之助が絶命した
「勿論だとも、風花」
誰もいない砂浜で太宰はもういない思い人へと呟いていた
_
探偵社の新人、中島敦はいつもの様に太宰治という名の男を捜していた
小さな峠の近くにくると、峠の上に男の姿があった
男は墓を優しく撫でると、木に背中を預けて座った
敦は少し前にもこんなことがあった、と思いながら太宰の元へと足を進めた
墓の前までくると、手を会わせて普段の太宰さんの様子を伝えた
「少し前にもこんなことがあったね」
「そうですね、太宰さん」
太宰は俯くといつも通りの明るい表情を見せた
敦は墓に書いてある名前を確認する
「青梅 風花…さん?」
敦には青梅、という苗字に心当たりがあった
「雨芽ちゃんのお姉さんだよ」
太宰が呟いた
少し戸惑いながらも太宰へ問うた
「何処で知り合ったんです?」
「マフィア時代の補佐の子だったのだよ、私の片想いしていた人さ」
暫く沈黙が流れたあと唐突に敦が叫んだ
「太宰さんが片想いぃいい!?」
太宰は仕方がなさそうに肩を竦めて笑った
そして、太宰の腕を思いっきりひくと敦は、仕事です、と太宰を引き摺って墓地の前を後にした
墓の前には色とりどりの花束が添えられていた
そこでは、少女と青年の柔らかな笑い声が今でも飛び交っている
_番外編fin_
雨芽ちゃんのお姉さんの風花さんのお話でした
実は太宰さんと雨芽ちゃんには以前から面識があったり…?
なんてことを見ながら一夜目を読んでみると案外面白いかもしれません
またのご利用を心よりお待ちしております
_ラム
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ミレー - ラムさん» いえいえ大丈夫ですよ(*^□^*) 此れからも楽しみに待ってます(。-∀-) (2019年12月8日 10時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» ♯41に恐らくあります.......。更新の間が空いてしまい、読みづらくなっていてすみません、(リア友宛で頼まれた小説を書いてるもので) (2019年12月7日 8時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 中也様最後に何を言ったのでしょうか?(。-∀-) 続き楽しみですv(・∀・*) (2019年12月7日 7時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - ラムさん» ありがとうございます(≧∇≦) 楽しみですσ(*´∀`*) (2019年11月22日 17時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ラム(プロフ) - ミレーさん» まぁいとこですけどね笑笑 続きは更新しますよー (2019年11月21日 18時) (レス) id: 679c2774ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:少女F(旧ラム) x他1人 | 作成日時:2019年7月8日 0時